【6月24日付編集日記】アピール上手に

 新潟市を訪れると必ずといっていいほど立ち寄る場所がある。JR新潟駅の商業ビルにある食品店「ぽんしゅ館」。米や干物など特産品を購入できるだけでなく、利き酒を楽しめるのが店の売りだ

 ▼新潟の酒が100種類ほど並び、受付で500円を支払うとおちょことコイン5枚を渡され、1枚で1杯試飲ができる。混雑する店内を見ながら飲んでいると、新潟は酒に加えてPRもなかなかだと思わされる

 ▼南会津町の会津田島駅でも日本酒が味わえる。待合室の自販機に地元の酒蔵の酒が並び、1杯200円で飲める。交流サイト(SNS)で発信されるなどして認知度が高まっており、列車で旅をする人の目的地の一つとなっている

 ▼福島の酒は全国新酒鑑評会の入賞銘柄数で全国トップ。世界最大のワイン品評会で金メダルを獲得するなど、品質の高さで他県より勝るのは間違いないが、惜しいかな発信力で後れを取っている

 ▼県は弱点克服に向け日本酒ファンと蔵元が交流するサイトを設けたり、県内外でイベントを開いたりすることにしている。ただ、行政任せにせず県民挙げて売り込むのも大切だろう。アピール下手の県民性を封印し、いろいろ試してみる価値があるのでは。 

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