メロン4品種開発「西会津の特産に」 独自理論で改良重ねる

コンテストで最優秀賞となった西会津メロン

 夏を代表する果物で贈答用など人気が高いメロン。チャルジョウ農場(西会津町)の小川光さん(75)は、この甘味の四つの新たな品種を開発し、町の名産に育て上げようと取り組んでいる。今年の全国的な農産物コンテストで最高賞を獲得するなど評価を高めており、小川さんは「多くの人に手に取ってもらえるようにしたい」とさらに発信を強める考えだ。

 開発した品種はトルクメニスタンのメロンと会津在来のシマウリなどを掛け合わせ、それぞれ「飯豊メロン」「西会津メロン」「文武両道」「才色兼備」と名付けた。四女の美農里さん(39)と共に通信販売で全国に売り出しているほか、各種イベントに出店し、販路拡大を進めている。

 東京都出身の小川さんは、東京大農学部を卒業後、県職員として農業試験場や普及所で農業指導を務めた。「自ら畑を耕さなければ農業指導ができない」と、喜多方市に土地を購入し、メロンなどの栽培方法を独自に研究。栽培にのめり込むようになり50歳で早期退職し、専業農家になった。

 そこから10年ほどで開発した品種を売り出したが、当初は購入者からは「甘くない」などと苦情を寄せられることもあった。肥料作りに時間をかけ、ハウスで水をやらず、枝切りや摘果もしない―など、独自の理論を構築して栽培。改良を重ね、ここ数年でようやく味、数量ともに安定して収穫できるようになった。

 飯豊メロン、西会津メロンは糖度17度前後と甘み十分で果肉もきめ細かく、才色兼備は香りの豊かさ、文武両道は水分たっぷりでみずみずしいのが特徴。小川さんは「原産の特徴を残しつつ本当においしいメロンになった」と誇らしげに語る。価格帯は種類や大きさにより4千~1万5千円ほどで、7月下旬から9月いっぱいかけて収穫する。

 このうち、西会津メロンが今年2月に日本有機農業普及協会の「身体(からだ)に美味(おい)しい農産物コンテスト2024」メロン部門で最優秀賞を受賞。おととしには町のふるさと納税の返礼品にも加わっており、名産品としての土台が整いつつある。小川さんは「さらなる販路拡大につなげていきたい」と生き生きと語った。(丹野裕平)

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