県内公立高、県外からの入学者増 県教委、受け入れ拡大めざし発信注力

今春、新庄南高金山校に県外から入学した3人。県教育委員会は公立高での受け入れ拡大を目指している=金山町・同校

 県内の公立高で3年間学ぶため、県外から入学する生徒が増えている。2024年度入試では9校の募集に対し22人が入学した。県外出身の生徒の存在は学校や地域の交流促進、活性化にもつながると期待され、県内の大学への進学例もある。県教育委員会は受け入れ拡大を目指し、各高校を巡るバスツアーを新たに実施するなど発信に力を入れる。

 以前は、県外からの受け入れは保護者の転勤など一定の条件下で認めていた。少子化などに伴う定員割れの増加を踏まえ、県教委は18年度入試から加茂水産、遊佐の2校で志願者受け入れを開始。24年度入試は計9校が募集した。小規模校であることや、入学定員に対する合格者割合が一定を下回っていることなどが要件。学校側が申請し、県教育長が承認する。

 入学者は19年度入試の加茂水産の4人を皮切りに、20年度は6人、21年度は7人、22年度は15人、23年度は16人と増えている。受け入れ要件を緩和した25年度は谷地と庄内総合を加えた計11校で募集する。

 バスツアーは7~8月に行う。対象は県外の中学生と保護者。置賜、最上、庄内の3コースで、それぞれ1泊2日で受け入れ対象校を巡るほか、観光地も訪れて本県の風土や文化に触れてもらう。参加無料で、来県時の交通費を補助する。このほか、県教委は受け入れ対象校の特徴を紹介するパンフレットを新規に作成し、県外で配布する。

 県教委は「県外からの入学者は学校活動をけん引し、県内の生徒への刺激や相乗効果につながっている」と受け止める。昨年3月に遊佐高を卒業した名古屋市出身の2人は酒田市の東北公益文科大に進学した。県内外の生徒がともに学び、活動することは関係人口の増加や人材定着も期待されることから、積極的にPRする考え。

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