若手社員「ゆるブラック」認識 ホワイトだけど…成長不足で4割が転職検討 企業はキャリアの選択広げる役割へ

若手社員を対象とした調査で、約7割が勤務先をホワイト企業と評価するも、うち4割以上は成長機会不足で「ゆるブラック」だと認識していることが分かった。専門家は、個々の主体性を促し、成長を後押しする企業の役割が重要と指摘する。

働きやすいが成長しにくい「ゆるブラック」

人材サービスのアデコ・グループ・ジャパンが、20代・30代の若手社員を対象に行った調査で、「ゆるブラック」に対する若い世代の本音が見えてきた。

「ゆるブラック」は、「働きやすく居心地は良いが、仕事のやりがいや成長を感じられず、スキルアップやキャリアアップも難しい職場」を意味している。

人材サービスのアデコ・グループ・ジャパンの調査によると、20代・30代の若手社員・職員の約7割が、勤務先をホワイト企業だと回答。

しかし、そのうち4割以上が、勤務先を「ゆるブラック」だと考え、さらにその中の4割近くが、1年以内の転職を視野に入れているという。

約6割が「現在の勤務先ではキャリア形成は望めない」と答えていて、若手社員が、居心地がよい「ゆるブラック」な職場よりも、働きがいや成長の機会を求めていることがうかがえる。

自律性の低さが仕事の面白さに影響

「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんに話を聞いた。

海老原優香 キャスター:
若い世代が職場に求めるものが、変わってきているということなんでしょうか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
これからは、職場でのやりがいや、成長がより重要になっていきます。

ある調査によると、20代に「仕事を選ぶ上で重視すること」を聞いたところ、休みの取りやすさなどの「働きやすさ」に関する項目の肯定率が低下傾向なのと対照的に、知識やスキルの獲得といった「やりがい・成長」に関する項目の肯定率は上昇傾向にあり、直近5年間で15%から22%に増加するなど、成長できる環境へのニーズが強まっています。

海老原キャスター:
確かに、やりがいや成長も大事ですよね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
一方で、別の国際比較に関する調査では、「自分の仕事を面白い」と感じている労働者は、日本は、高所得9か国平均の77.5%と比べて、54%と非常に低いというデータがあります。

とりわけ、日本の仕事の面白さが低いことの最大の要因には、「仕事の自律性」の低さ、いわば、働く人が主体的に関わり切れていないことが挙げられます。

キャリア選択肢の多様化が成長後押し

海老原キャスター:
どうすれば、働く人の主体性を高めることができるんでしょうか。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
これから企業に求められる役割として、いかに個々人の主体性を促し、成長を後押しできるかがより重要になっていきます。

既に、企業では、働く人の主体性を高めるためのさまざまな取り組みが進められています。まずは、主体的なチャレンジを評価する仕組み作りが大切です。

ある食品メーカーでは、挑戦する人材を増やす目的から評価制度に「チャレンジ目標」を導入し、階級が上がるほどチャレンジの割合を高くすることで、挑戦を促す風土づくりに取り組んでいます。

また、ある中堅企業では、人事評価に「自分が面白く働けているか」を10段階で評価する「面白指数」を導入し、社員の上司への評価に影響させるなどの取り組みを行っています。

海老原キャスター:
数字で表現したほうが、伝わりやすいもこともありますよね。

デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
加えて、個人がキャリアの選択肢を主体的に選べる環境作りも重要です。

最近は色々な企業で、異動に公募制やFA権制度を取り入れたり、現業を継続しながら別の部署の業務に参画する兼業型制度(キャリアプラス)を取り入れたりするなどの取り組みが行われています。

企業と働く人が、より対等になっていくこれからの時代は、働く人と企業の双方が知恵を出し合って仕事を面白くして、個人の成長を促す取り組みが増えていくことを期待します。

海老原キャスター:
どんな企業で働くのかと同じくらい、どんな人と働くのかということも大切だと思います。一人一人が働きやすく、やりがいを持てる職場作りに貢献することができたらいいなと感じます。
(「Live News α」6月21日放送分より)

© FNNプライムオンライン