『虎に翼』に『ブギウギ』スズ子&りつ子登場の可能性? “スンッ”とした梅子との再会も

『虎に翼』(NHK総合)第61話で、梅子(平岩紙)と意外な形で再会を果たした寅子(伊藤沙莉)。生きて再び会えた喜びも束の間、寅子は大修羅場に直面するのだった。

はる(石田ゆり子)の死後、寅子は人手不足を補うために設けられた特例判事補に任命される。よって本来は判事の仕事である家事部の審判も担うことになった寅子は大忙し。直明(三山凌輝)も勉学に追われ、家の方は花江(森田望智)がいることでどうにか成り立っている。

そんな中、東京家庭裁判所の独立庁舎がついに完成し、開所の式典が催された。そこで多岐川(滝藤賢一)は家庭裁判所の存在をもっと広く世に知らしめようと、広報活動の一環として「愛のコンサート」を開くと宣言。寅子は出演歌手を探す羽目になり、各レコード会社に電話で交渉をかける。

その中の一つが、前作の朝ドラ『ブギウギ』で登場した“コロンコロンレコード”。コロンコロンレコードといえば、ヒロインのスズ子(趣里)やライバル・りつ子(菊地凛子)のレコードを発売していた会社だ。これに気づいた視聴者の間では、すでに同作とのコラボを期待する声が挙がっている。ここは寅子に交渉を頑張ってほしいものだ。

その一方で、家庭裁判所の庁舎には戦争で戦死不明となった人の失踪宣告や遺児との養子縁組など、様々な事情を抱えた人たちが詰めかけるようになり、寅子はその対応にも追われていた。そんな中、寅子の窓口にやってきたのが元山すみれ(武田梨奈)という女性。長年妾をやっていたというすみれは旦那が亡くなったので、その遺産を得たいという。本来、妾には遺産相続の権利はないが、すみれの場合は旦那から遺言書を預かっていた。その遺言書に記された名前を見て、寅子は心がざわつく。すみれは梅子の夫・大庭徹男(飯田基祐)の妾だった。

後日、遺産を相続する権利がある人たちが立ち会いのもと、遺言の存在と内容を行う“検認”が行われることに。同席したのは徹男の母・常(鷲尾真知子)と、長男の徹太(見津賢)、次男の徹次(堀家一希)。そして、なぜか梅子と立派に成長した三男・光三郎(本田響矢)の姿もそこにあった。梅子は寅子と一緒に弁護士を目指していたが、徹男に離婚届を突きつけられて高等試験を断念。三男を連れて、家を出たはずだ。

その後の行方は不明だったが、本人が「大庭の妻でございます」と名乗っていることからも、何らかの事情があって大庭家に戻ったのだろう。連れ戻されたのか、自ら戻ったのかはわからないが、梅子は気まずいのか寅子と一切目を合わせようとしない。そんな中、「元山すみれに全財産を遺贈する」と記された遺言書が読み上げられ、その場は一時騒然となった。だが、梅子は狼狽えない。なぜなら、正式な遺言書があっても妻と息子で財産の半分を“遺留分”として請求できるからだ。法曹の道には進まなかった梅子だが、新民法にもしっかりと目を通していたのである。それがわかり、寅子は一瞬嬉しそうな顔をしたが、気になるのは梅子が光三郎に耳打ちする形で知識を披露したこと。おそらく大庭家では梅子に発言権がないのだろう。梅子は“スンッ”とした顔で、口を噤んでいる。

これで先々週の香淑(ハ・ヨンス)、先週のよね(土居志央梨)に続き、3週連続で明律大学女子部法科の同期と再会を果たしたことになる寅子。だが、その再会はいずれも一筋縄にはいかない。女性が裁判官になれて、離婚後に妻が子供の親権を得ることができる時代になっても、あの思い出の海ではしゃいだ時のようにみんなで笑い合える日はまだまだ遠そうだ。
(文=苫とり子)

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