外国人宿泊客が過去最多ペース コロナ禍からV字回復、和歌山県田辺市本宮町

連日、多くの外国人観光客が訪れている熊野本宮大社(20日、和歌山県田辺市本宮町で)

 世界遺産登録20周年を迎える和歌山県田辺市本宮町で今年、外国人宿泊客数が過去最多のペースで推移している。コロナ禍での激減からV字回復し、今年は過去最多だった2019年と比べ、5月までの集計で1.36倍。熊野本宮観光協会は「このままのペースだと過去最多になりそう」と話している。

 熊野本宮観光協会の総会が20日に本宮町内であり、事務局から報告があった。

 熊野古道やその目的地である熊野本宮大社を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録された2004年、本宮町の外国人宿泊客数はわずか492人だった。その後、基本的に右肩上がりに増え、コロナ禍前の19年には過去最多となる3万960人に上った。

 しかし、新型コロナウイルスが発生し、世界的に感染が拡大。日本でも水際対策として入国制限が行われ、20年は2181人、21年には226人になるなど、大きく落ち込んだ。

 その後は制限緩和に伴って回復し、23年は過去2番目に多い2万6790人が宿泊した。今年は1~5月の暫定値で1万5462人に上っており、19年の同期間(1万1343人)を、いずれの月も上回っている状況だ。

 国・地域別に外国人宿泊客を見ると、1~5月で最も多いのが2394人のオーストラリアだが、2位は1790人の中国。米国(1657人)、台湾(1295人)、フランス(912人)が続いており、観光協会の名渕敬会長(59)は「外国人宿泊客は当初、欧米系の方々がけん引してきたが、いまは個人旅行で訪れるアジア系の方々が目立ってきている」と説明する。

 熊野古道とサンティアゴ巡礼道を歩いた共通巡礼達成者も近年、大きく増加している。取り組みは15年に始まり、コロナ禍前の19年までの5年間での達成者は3268人だったが、コロナ禍を経て、昨年1月から今年5月までの1年5カ月で2791人に上っている。

 名渕会長は「外国人宿泊客数の増加は共通巡礼の効果が大きいし、SNSの影響もあると思う。熊野に対して自然と神秘性、歴史を感じて海外から多くの方々が来てくれるのはありがたいし、びっくりもしている」と話している。

和歌山県田辺市本宮町の外国人宿泊客数の推移

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