SBT、家畜の遠隔診療サービス「アニマルック」が77診療所に導入決定

SBテクノロジー(SBT)は6月20日、家畜の遠隔診療サービス「アニマルック」を4月1日にリリースし、国内最大規模であるNOSAI北海道と、NOSAI沖縄などの計77診療所に導入が決定したことを発表した。これにより、全国のNOSAI獣医師の約半数以上がアニマルックによる遠隔診療を順次開始する。

アニマルック利用イメージ

家畜診療の多くは、NOSAIに所属する獣医師が行っている。NOSAIは家畜の病気やけが、死亡や廃用事故などを補填するための農業者の相互補助を基本とした家畜共済を提供しており、農業者はこの家畜共済に加入することで、診療にかかる保険給付を受け取ることができるようになっている。

日々の診療は、獣医師が農業者を訪問する形で行われるが、遠方や離島などの地理的要因により、頻繁な診療が困難な地域の存在、また診療所の統合などによる往診距離の長距離化を原因とし、診療効率の低い地域が発生している。農林水産省によると、獣医師の勤務時間の約3割が移動に費やされており、慢性的な獣医師不足に加え、1人当たりに対する業務負荷が高くなっている。

こうした中、2023年4月1日に農林水産省から家畜共済の保険対象に遠隔診療が新たに追加され、遠隔診療を積極的に利用しやすい状況が整った。SBTはこの動きとあわせて、家畜診療に携わる関係者に対してヒアリングを重ね、今回のサービス提供に至った。

アニマルックは、獣医師が遠隔診療を行う際に必要なビデオ通話や、診療の予約・管理ができるサービス。遠隔診療によって獣医師の業務効率の向上を図るとともに、農場への外部関係者立ち入りを遠隔診療で最小限にすることで、感染リスクを最小化する。また、ITが苦手な人でも直感的に利用できるアプリケーションのLINEを用いて同サービスを利用でき、獣医師と農業者の新たなコミュニケーション手段としても有効なツールとなっている。

主な機能として、獣医師が、あらかじめ診療可能時間をカレンダーに登録しておくことで、LINEやウェブ経由の診療予約を自動化し、業務負担を削減できる。農業者はLINE、SMS、メールなどのさまざまなコミュニケーションツールで予約確定の通知を受け取ることができ、記載されたURLからビデオ通話での遠隔診療を開始できる。

獣医師が行う診療の一つに、死亡廃用共済への適用を判断するための死亡確認業務がある。獣医師は、GPS付き画像をもとに死亡確認を行うことで、移動時間を減らし、業務をより円滑に行うことができる。

診療の録画データや処方に関するデータなどの診断履歴をクラウドで一元的に管理しており、スマートフォンからも診療データにアクセスできる。例えば、往診時に過去の診療内容を確認したり、新たに診療した内容の編集を行ったりすることも可能となる。

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