そうめんでもOK!冷たくて濃厚な豆乳スープで、韓国の夏に欠かせない「コングクス」

韓国の夏といえばこれ!冷たくて濃厚な豆乳スープで楽しむ麺料理「コングクス」のレシピをご紹介します。韓国料理研究家の本田朋美さんに、ご自宅でも簡単に作れる方法を教えていただきました!麺はひやむぎやそうめん、うどんでもOKなので、ぜひレパートリーに加えてくださいね♪

こんにちは!韓国料理研究家の本田朋美です。

日本では暑さが増してくると、「冷やし中華はじめました」の貼り紙やのぼりを街の中華料理店で見かけるようになりますよね。

韓国にも夏限定の麺料理があるんですよ。

それが「コングクス(豆乳麺)」です。

今回は、この「コングクス」について、探求したいと思います!

夏限定の韓国の味!「コングクスはじめました」

「コングクス」というのは、よく冷えた「コン(豆)」のスープで食べる、麺(ククス)料理です。

初夏から夏の間しか食べられないので、韓国で「コングクス ケシ(コングクス開始(はじめました)!)」という貼り紙を見つけると、夏の訪れを感じます。

「コングクス」がいつ頃から食べられているのか、はっきりは分かりませんが、1730年頃に実学者のイ・イクが書いた「星湖僿説(ソンホサソル)には「大豆は庶民の重要なたんぱく源として利用され、豆スープが嗜好品として根付いた」とあります。当時は石臼で煮た大豆を挽いて豆乳を豆腐にし、残ったおからを煮てスープを作っていたそうです。

また、1800年代後半に刊行された料理書「是議全書(シイジョンソ)」では、「大豆を水でふやかしてゆがいて挽き、ザルで濾して塩で味を調えた後、小麦の麺を入れる」と書き残されていました。

しかし、この時の料理名は麺入りにも関わらず、「コングク(豆乳スープ)」だったようです。

石臼からミキサーへ

1970年代に入ると、電化製品が次々と開発され、この時代に登場したミキサーが「コングク」の人気に一役買いました。

それまで豆乳を作るための「大豆をゆでて石臼でひいてザルで濾す」という手間が作り手には大きな負担だったのですが、ミキサーが開発されたことで瞬時に豆乳が作れるようになりました。

その後、1987年には随筆家のチョ・プンヘンが「豆乳に麺(ククス)を入れて食べるのは韓国ならでは」というコラムを新聞に寄稿しました。

それまではずっと、麺が入っているのにコングク(豆乳スープ)という料理名だったのですが、「コングクス(豆乳麺)」という名前はこの頃に生まれたようです。

本場の「コングクス」の作り方

上述でミキサーの話がでましたので、いったん韓国式の本格的なコングクスのスープの作り方をお話しておきますね!

まずは乾燥大豆をさっと洗ってから、半日ほど水に浸けておきます。

その後、鍋や圧力鍋で煮てから煮汁など水分を加えつつミキサーにかけます。この時、ごまや松の実なども一緒にミキサーにかけると、より香ばしいスープになります。この後、冷蔵庫で冷やします。

もう少し簡単なやり方は、大豆の水煮を使う方法です。水煮と水をミキサーにかけるという点以外は同じです。

大豆のコクという点では圧倒的に乾燥大豆を使った方が優位なのですが、どの方法を選ぶかは時間と相談しつつお試しください。

具が全くのっていない「コングクス」

ちょっとユニークなコングクスをご紹介しておこうと思います。

コングクスには、ゆで卵、きゅうり、トマトを具としてのせるのが一般的ですが、韓国の南に位置する慶尚南道(キョンサンナムド)の晋州(チンジュ)では、このように全く具をのせません。完全に麺と豆乳スープだけなんです。また、スープには生産地域を限定したこだわりの大豆しか使わないのだそうです。

私は現地ではまだ食べたことがありませんが、韓国の方のブログを見ていると、スープはとろみが強くて濃厚。まるでクリームパスタのようなのだそうですよ。

人によっては途中で飽きてしまう場合があるので、おかずとして出るキムチを途中で入れて味変すると、最後までおいしく食べられます。

この晋州(チンジュ)のコングクス。その土地で味わうのが一番ですが、じつはソウルにも晋州コングクスで有名なお店があるんです。本場と同じスタイルで、本当に麺と豆乳スープだけ!なんですよ。

もしソウルに行かれる機会がありましたらぜひ「晋州会館」で真っ白なコングクスを召し上がってみてください。

では、最後に豆乳を使って、ご家庭でも簡単に作れる「コングクス」のレシピをご紹介します。とろみとコクを加えるために、絹ごし豆腐を入れるのがポイントです!

コングクス(豆乳麺)

調理時間

10分(冷蔵庫で冷やす時間を除く)

分量

2人分

材料

・無調整豆乳…400ml

・絹豆腐…100g

・白ごま…大さじ1

・塩…適量

・ひやむぎ…2人分

※そうめんやうどんでも可

・きゅうり…1/4本

・トマト…1/2個

・ゆで卵…1個

作り方

1. ミキサーに豆乳、絹豆腐、白ごまを入れてなめらかになるまで攪拌したら塩で味を調え、冷蔵庫で30分ほど冷やしておく。

2. きゅうりは長さ5cm、幅3mmの斜め切りにしてからせん切りにする。トマトは幅3mmの薄切りに。ゆで卵は縦半分に切る。

3. ひやむぎを表示時間どおりにゆでたら水でよく洗い、ザルにあげて水気をよく切る。器にひやむぎを盛りつけ、きゅうり、トマト、ゆで卵をのせて1の豆乳スープを注ぐ。

今回麺はひやむぎを使いましたが、そうめんでもうどんでも、ご自宅にある麺で代用できます。

また、白ごまの代わりに、黒ごまもおすすめです!

豆腐と豆乳の割合はお好みで調整してください。

レシピには書きませんでしたが、写真のように白菜キムチがあると、よりおいしく食べられます。最初はそのままで、途中から白菜キムチを入れて味変してみてください。

それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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