石炭火力発電の排煙から水を取り出す技術 中国内モンゴル自治区

石炭火力発電の排煙から水を取り出す技術 中国内モンゴル自治区

京能(シリンゴル)発電所。(資料写真、フフホト=新華社配信)

 【新華社フフホト6月24日】中国内モンゴル自治区シリンゴル盟西ウジムチン旗にある京能(シリンゴル)発電はこのほど、大型火力発電所で褐炭の燃焼後に発生する排煙を特殊な装置で処理することで、水を取り出せると明らかにした。

 同社の李瑞東(り・ずいとう)総経理は「褐炭燃焼後の排煙から水を取り出すことができる装置を開発し、66万キロワット級火力発電ユニットに取り付けた」と述べた。

 李総経理によると、褐炭は水分含有量が比較的多く、燃焼後に発生する排煙には大量の水蒸気が含まれている。

 同社は排煙脱硫と効率的な凝縮を一体化した水取り出し装置を開発し、脱硫塔と凝縮塔を一体化、一連の技術イノベーションを応用して、石炭から水を「生み出す」技術を確立したという。

石炭火力発電の排煙から水を取り出す技術 中国内モンゴル自治区

京能(シリンゴル)発電所に設置された排煙から水を取り出す装置。(資料写真、フフホト=新華社配信)

 シリンゴル盟は石炭資源が豊富で水資源が乏しい地域だが、同技術により、火力発電所は「水を大量に消費する場所」から「水を大量に生み出す場所」となった。現在、石炭を年間400万トン以上消費する同発電所は、60億キロワット時以上の電気を生み出すだけでなく、150万トン以上の水も生み出せるようになっている。

 李総経理は「石炭から生み出された水は、発電所の生産、生活用水の需要を十分に満たす」とし、節水改造を何度も重ねた結果、現在、発電所の生産用水量は年間100万トン余りの規模を維持していると説明。「装置は2018年に使用を開始、19年5月15日から現在まで、発電所は(石炭から生み出された水の)ほかの水使用量ゼロでの発電を続けている」と明らかにした。

 装置が安定的に稼働し続けるのに伴い、シリンゴル大草原の多くの企業が相次いで同技術を導入し、節水改造を進めている。シリンゴル盟工業・情報化局のデータによると、現在シリンゴル盟では8カ所の火力発電所、コジェネレーション(熱電併給)企業が同技術を導入しており、年間最大660万トン以上の水を石炭から生み出せるという。(記者/劉偉、劉懿徳)

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