ロシア人芸術家と海南島の伝統織物「黎錦」との出合い

ロシア人芸術家と海南島の伝統織物「黎錦」との出合い

14日、アトリエの壁に絵を描くロシア人芸術家のサーシャさん。(海口=新華社記者/周慧敏)

 【新華社海口6月24日】ロシア・ノボシビルスク出身のサーシャさん(24)は、生まれ育った家庭から影響を受け、早くに油絵作家の道を選んだ。中国海南省に暮らして6年、今では自分のアトリエを設けている。

 サーシャさんは「幼い頃から中国文化に興味があり、10歳くらいの時に本やテレビ、インターネットを通して中国の歴史や文化を学んだ」と自分と中国との関わりについて流ちょうな中国語で語った。

 サーシャさんは2018年、中国文化に憧れを抱きながら海南省に留学した。「青い空に白い雲、太陽のきらめく砂浜、ここの景色はとても美しく、地元の人たちも優しくて素朴」。大自然と人はサーシャさんのお気に入りの創作テーマで、ここで心静かに海南島の美しい風景と素朴な人々を描くことができている。地元の独特な文化も心ひかれる創作テーマの一つだという。アトリエの本棚には海南島の少数民族リー族の伝統織物「黎錦(リージン)」に関する本がぎっしり2列並んでいる。サーシャさんが初めて黎錦に出合ったのは、夫と海南島を旅行したときで、その模様に深く魅了されたという。

ロシア人芸術家と海南島の伝統織物「黎錦」との出合い

少数民族リー族の伝統織物「黎錦」をテーマに創作活動をするロシア人芸術家のサーシャさん。(2022年8月25日撮影、海口=新華社記者/周慧敏)

 「リー族は文字を持たないが、黎錦の模様には同民族の神話に登場する創世神の『大力神』や伝承物語の『甘工鳥』など、民族独特の文化が記されている」。サーシャさんはこれら古くから伝わる民族の象徴から大いに創作力を駆り立てられ、黎錦をテーマにした絵を数多く生み出した。サーシャさんは創作活動を通して、寛容で開放的、かつ芸術家にさまざまな機会をもたらすこの土地のことをより多くの人に知ってもらいたいと願っている。

 今年は中国とロシアの国交樹立75周年に当たり、「中ロ文化年」のスタートの年でもある。中国とロシアは現在、一連の文化交流活動を行っており、両国の各地方や社会各界の交流に対する熱意もますます高まっている。

 サーシャさんは「両国ともに奥深い文化がある。芸術の『衝突』を通じて、両国の文化交流の懸け橋になりたい。芸術という窓を通して、両国民が互いをより深く理解し合えるように、それぞれの文化に関する絵画の個展を開く予定。中国はもう私にとって第二の故郷だ」と語った。これまで以上に両国友好の物語を描き、芸術という火花で両国の文化交流を照らしていきたいとしている。(記者/周慧敏、程瀟)

ロシア人芸術家と海南島の伝統織物「黎錦」との出合い

少数民族リー族の伝統織物「黎錦」をテーマに創作活動をするロシア人芸術家のサーシャさん。(2022年8月25日撮影、海口=新華社記者/周慧敏)

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