遼代の二つの墓を緊急発掘 中国内モンゴル自治区

遼代の二つの墓を緊急発掘 中国内モンゴル自治区

 赤峰市元宝山区で緊急発掘した遼代墓で出土した緑釉磁盤。(フフホト=新華社配信/李婥)

 【新華社フフホト6月24日】中国内モンゴル自治区文物考古研究院は、同区赤峰市元宝山区でこのほど、遼代(10~12世紀)の二つの墓を緊急発掘し、鶏冠壺(けいかんこ)や緑釉磁盤(りょくゆうじばん)、鉄馬鐙(てつばとう)、白磁碗などの遺物が出土したと発表した。当時の社会生活をより深く知るための新たな根拠になるという。

 墓は4月末に村民が棚田の整備で発見し、調査で大小二つの墓を発掘した。いずれも長い傾斜墓道を持つ「甲」字型の合葬墓で、距離も近く、同方向を向き、棺床は2層のれんが敷きとなっていた。二つの墓の被葬者は家族だったと推測され、現在は人骨採取や埋め戻しなどの作業を進めている。

遼代の二つの墓を緊急発掘 中国内モンゴル自治区

 赤峰市元宝山区で緊急発掘した遼代墓の墓室で、発掘作業を進める考古学スタッフ。(フフホト=新華社配信/李婥)

 同研究院の蓋之庸(がい・しよう)副院長は、墓の形状や出土品の分析により遼中後期の契丹人の墓だと分かったと説明。「遼は唐の制度を継承していた。墓から出土した提梁壺(ていりょうこ、吊り手のあるつぼ)は契丹族の文化的特徴を色濃く持つが、製法は唐三彩と酷似しており、当時の各民族の往来・交流・融合状況を研究上で重要な実物資料になる」と語った。(記者/恩浩)

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