原告の男性が初めてカメラの前で証言 恵庭市の牧場 5000万円超の障害年金”横領”問題

北海道・恵庭市の牧場で知的障がいがある3人が障害年金を横領されたなどとして、牧場と市に損害賠償を求めている裁判。訴えを起こしている原告の男性が、初めてカメラの前で証言しました。

中学生のときからラジコンが好きでいまでも大切にしているという60代の男性。知的障害を抱えていますが、おととしまでのおよそ20年間にわたりある牧場で住み込みで働いていました。しかし、そこは「自由」がない生活だったといいます。

原告の男性)

(Q自分の好きなことはできた?)

「それはできない」、「やっぱり自由にしてほしい」、「仕事していても自由にならないから」。

男性が働いていたのは恵庭市にある遠藤牧場。牧場の一角に置かれたプレハブで男性を含む3人の障害者が水道も通っていない劣悪な環境の中、住み込みで働いていました。毎朝の食事について男性はー

原告の男性)

「お湯に卵いれて、ご飯で」、「朝来たらおいてある」。

また、冬のプレハブでの暮らしは厳しいものだったと話します。

原告の男性)

「冬はすごい寒い」、「ストーブあったけど燃料は使ったらだめと言われて」、「それはばあちゃん(遠藤氏の妻)から言われた」。

(Q寒いときは?)「布団にくるまって寝て」。

牧場主は恵庭市議会の議長を務めた遠藤昭雄氏。4年前に病気で亡くなりました。

男性によると牧場では給料も払われず休みがほとんどない生活。遠藤氏に相談しようとするとー

原告の男性)

(Q遠藤さんには言えない?)「あんまり言うとね、逆に言われるから」、「怒鳴る」。

さらに虐待と疑われかねないことも。男性は、牧場にいた牛用のバリカンで髪を切られたといいます。

原告の男性)

「髪の毛刈るかい?と言われてこんなでかいやつでいや耳切られるのかなと」、「いやもう悪いことをしてほしくないなと思う」、「お金のことはみんなにも早く返してほしい」。

この男性ら3人は去年8月、牧場と恵庭市を相手取り裁判を起こしました。訴状などによりますと劣悪な環境で住み込みで働かされたうえ、支給されたはずの5000万円以上の障害年金を横領されるなど経済的虐待を受けたとしています。また市も問題を隠蔽していたとして、牧場と市にあわせておよそ9400万円の損害賠償を求めています。

先週金曜日に行われた4回目の口頭弁論。原告側は、市は牧場側への調査で劣悪な環境での生活を確認し虐待を認識していたと主張しました。次回の口頭弁論は9月4日に行われ市側が反論するとみられます。

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