令和のポップマエストロにして音の熱波師・meiyoが新宿LOFTの歌舞伎町移転25周年を記念して開催した『aufgießer 2nd set』でONIGAWARA、Aoooと共演! 三者三様の凄まじい音の熱波を放出した一夜をレポート!

新宿LOFTで5月31日(金)に開催された『aufgießer 2nd set』。シンガーソングライター・meiyoが新宿LOFTと共催するイベントは、タイトルが示す通り今回が2度目の開催。開催前にmeiyoが語ったインタビューもお読みいただきつつ、ライブを通してmeiyoが語った部分からレポートを始めていくと、“日本一のバンドだと思っている赤い公園と共演することはできなかったけど、いま音楽を続けている者同士…と言うのはおこがましいけれど、今日一緒にやることができて良かったです”というAooo(補足:Aoooボーカル・石野理子は赤い公園のボーカリストだった)、かたや“存じ上げておりましてライブも見ていたけど、これまでご一緒したことはなかった”というONIGAWARA。この2組と共演の夜となった。

ドイツ語のサウナ用語で“熱波師”を意味する aufgießer(アウフギーザー)と命名し“音楽の熱波を届ける”べく今回が約1年ぶりの開催となったが、前回よりも確実に熱が増していた上に、8月には3回目の開催も決定(詳細はこちら)。今後も続いていく『aufgießer』、2回目の今回を振り返ろう。

トップバッターはONIGAWARA。青の照明が輝く中登場し、開口一番“新宿LOFT、移転25周年おめでとう!”のお祝いメッセージから「ポップミュージックは僕のもの」でスタート。“バンバン写真撮ってOKだから!”と撮影をあおりつつ「シャッターチャンス'93」へ。25周年だけに両手で数字の2と5を示し、客席も一体となってシャッターチャンスのポーズを決める。客席から“カワイイ!”の声が上がるや“今年、40歳!”と答える斉藤伸也、早くも生まれる会場全体の一体感。続く「MEGA⭐︎DEATH」では愛用のいつものギターを手にする竹内サティフォ。

そんなこの日のスペシャルは、日付が変わる6月1日0時(本人たちも伝え方に苦慮していたが、ライブ後の深夜と書けば良いのか)にリリースの新曲「控えめに言って女神」のライブ前、“ミュージックビデオを撮りたいんだよね!”というMCが。お客さんがこの日に撮影したライブ動画を使用して作成する意向だそうで、果たしてどう完成するのか楽しみだ。

「夏フェスなんて大嫌い!!なんちゃって」では“ポップなビートで〜”とmeiyoが手掛けた楽曲のフレーズを入れ込み、「タンクトップは似合わない」ではミラーボールがキラキラ光る中での熱唱にペンライトも輝くフロア、さらにギターソロまで響かせるというONIGAWARAワールドを全開に詰め込んだ時間。“最後の曲です”と言った時には圧倒的に多かった男性ボイスの“え〜!”。会場内にいる全ての人を虜にしたステージだった。

続いての登場はAooo。ステージに現れ、おのおの握った手を4人全員で合わせてからいざ、「アパシー」でスタート。会場内のボルテージものっけからマックス状態で轟く声援。「フラストレーション」「青い煙」と立て続けに披露したのち、新宿LOFT移転25周年のお祝いを述べてから、“ONIGAWARAの曲が(頭を)離れなくて、楽屋でずっと歌ってました”と石野理子(vo)が言いメンバーも笑顔。“すごく楽しい機会をいただきまして、ありがとうございます”と丁寧に頭を下げる。

Aoooは曲を畳み掛けライブを駆け抜けていった印象が残る。「イエロートイ」で響かせた各パートのソロを見ても思わず唸るようなスキルを感じ、疾走感とスピード感ある楽曲に、ただキュートさがあるという一言では表せない、高低差ある楽曲も自然に表現し歌詞もすうっと聴く者の心に入り込んでくる石野のボーカルが相まって魅了されてしまうのであろう、と思う。

“金曜の夜に、すごく楽しい時間を過ごせました”と最後の最後まで丁寧な挨拶をして、ラストでは石野もギターを抱え「リピート」へ。この日披露した全10曲はわたしのような初見(耳)の人をも捉えて離さない楽曲ばかりだったと感じた。

そしていよいよイベント主催者でもあるmeiyo、この日はサポートメンバーと登場しバンドセットでのライブは「STICKER!!!」から。“今日のライブ、最高だよね〜!”とmeiyoもテンション高めのスタート。“皆さんで一緒に楽しいことをしよう”と「HOPE!HOPE!HOPE!」では、三三七拍子の手拍子に“サウナ!”の合いの手!事前のリハーサル等では本当に決まっていない即興だったのか、客席も一緒に何度かやり直しつつ練習する様が微笑ましい。昨年のこのイベント時より堂々と、かつライブを楽しんでいるように個人的には見える。

中盤、“ここ数年、(コロナ禍で)希望もあんまりなかった。今は景気的なことだったり、悲しいことも起こってる。僕自身が希望を持てなかったから、歌だけでも希望を持てるような曲を。それが、皆さんの希望になったら”といったMCから、meiyo自身もギターを手に取り「希望の唄」を。ライブの展開にしても、ちゃんと大人の階段を登っていると感じる。

ラストナンバー「いつまであるか」では歌い出しの時すでにmeiyoのトレードマークの一つ・眼鏡をかけていない(本人曰く曲始まりのタイミングで外していたそうだ)、そしてイントロからギターをかき鳴らす。この日はこれまでに見たことのないmeiyoが炸裂していたライブだった。

アンコールの声に応えmeiyoとサポートメンバーがステージへ。これまで新宿LOFTで何度もライブをしてきて“今日、初めてソールドアウトしました。本当に嬉しい!”と歓喜しつつ、“新宿LOFTのアニバーサリーに少し恩返しができたかな。AoooそしてONIGAWARAのお力添えのおかげです!”と共演の2組に感謝を延べ、「ビートDEトーヒ」を最後の最後に。ありがとうの言葉を何度も何度も連呼し、“これにて終幕!”とサウナの熱波師さながら、ステージでも客席でも全員が両手を挙げ(さらにタオルを持っている人はタオルを持った上で)煽ぐポーズを決める。新宿LOFTというライブハウスからすさまじい音の熱波を放出した夜は、これにて幕を下ろした。【Text:高橋ちえ(@djchie)/ Photo:丸山恵理】

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