【梅雨の晴れ間に狙いたい】首都圏から日帰りで登れる「いろいろちょうどいい! 中低山ハイキングルート」3選

梅雨入り前に登っておきたい首都圏近郊の山を3つ、おすすめします(写真:矢島慎一)

関東甲信越も、ついに梅雨入り。標高が高いところはまだ雪が残り、なかなか晴れ間も続かないこの時期は、日帰りで歩ける中低山を狙うのがおすすめです。

そこで、6〜7月にかけて、梅雨の合間で日帰りできるおすすめハイキングルートを紹介します。

■通称“花高原”こと、湯ノ丸高原から登る「湯ノ丸山」

まずおすすめしたいのは、浅間連峰の西側に位置する湯の丸高原にそびえる「湯ノ丸山」です。

山頂からはアルプスや八ヶ岳連峰、富士山に浅間山まで360度の大パノラマが見られるだけでなく、低山の植物から高山の植物まで約1,150種もの植物が混生している「植物の宝庫」としても知られています。

■湯ノ丸山往復は、約4時間コース

山頂往復コースは、休憩を挟みながらのんびり歩くと約4〜5時間ほど。難しい箇所や危険な箇所はないので、ビギナーでも安心して歩くことができるでしょう。

スタートは湯ノ丸高原ビジターセンターがある地蔵峠から。ここの標高が1,730mもあるので、山頂までの標高差はわずか370mほどしかありません。無理なく山頂の絶景に辿り着けることも、おすすめしたい理由のひとつです。

■9月まで様々な高山植物が次々に咲き続ける

道中は足元にショウジョウバカマやイワカガミ、ミネズオウ、高原に遅い春を告げるミツバオウレンなどを見つけることができるでしょう。登り切って笹原を抜けたところが、湯ノ丸山山頂(南峰)です。広々とした山頂で、見晴らしは最高です。

余裕があれば、往復約2kmの北峰まで足を延ばしてみましょう。丸っこい南峰と異なり、岩が重なり合った山頂で、それを越えた向こう側には更なる絶景が広がっています。

ビジターセンターで配布されているパンフレットをひと目見ただけでも、花の豊富さがわかる

9月まで毎週のように異なる高山植物が次々に咲き続ける山なので、今見頃を迎えているレンゲツツジが終わった後も見どころが盛りだくさん。植物好きなら、いつ訪れても楽しめるはずです。

■奥秩父の隠れ人気スポット「笠取山」

都内から日帰りで登れる、奥秩父の「笠取山」。百名山にも二百名山にも選ばれていませんが、多摩川、荒川、富士川の始まりの一滴が湧き出る分水嶺の山として、非常に人気を集めているハイキングスポットです。

標高は1,953mと、真夏よりも今が登りやすい気候です。週末ともなれば混雑は必至の人気ルートですが、じつはメインルートではない方向からアプローチすると、驚くほど静かな山歩きを楽しむことができます。

■将監峠経由の裏口ルートから山頂へ

笠取山に登る一般的な選択肢は、山頂の南側に位置する「作場平」を起点にした往復5時間ほどのルート。ここから登れば登山道は歩きやすく、危険箇所も少ないため、登山初級者の方でも安心して楽しめます。

対して、今回紹介するのは、作場平の東側にある「将監峠入口」を起点にした周回ルートです。ルートタイムはかなり長めになり、将監峠から笠取山までの稜線は少々ワイルドな登山道なので、レベルとしては中上級者向け。しかし、その分、山頂まではとても静かな山歩きが楽しめる極上のルートで、健脚な方なら日帰りで歩くことも可能です。

■豊かな水を存分に味わってみたい

豊富な湧水が最高に美味い山域です

林道を詰めて将監小屋を通り過ぎれば、登りはここまで。あとは、笠取山までは静かで快適な笹原の稜線歩きが続きます。6月中であれば、年によってはシャクナゲやズミの花がギリギリ見られるかもしれません。

また、とにかく水が豊かな山域なので、将監小屋や笠取山の南面にある水場などで、湧きたての水をたっぷりと味わってみてください。少し頑張って持ち帰り、コーヒーや水割りに使ってみると格別ですよ。

■「御座山」って、読めますか?

最後に紹介する御座山の標高は2,112m。周りが開けた山頂からは、八ヶ岳連峰をはじめ、南アルプスや北アルプス、浅間山や奥秩父まで、360度の大パノラマが楽しめることで知られ、日本200名山のひとつにも選ばれています。さらに、この時期は山頂周辺のシャクナゲを目当てに登る登山者も多い山です。

ちなみに、正しい読み方は「おぐらやま」。「ござやま」ではありません。天皇が座る高御座(たかみくら)が名前の由来とする説もあり、昔から景色が良かったことが窺い知れますね。

■なかなか登り応えのある体力派向けの山

栗生登山口からのルートは静かな山歩きが楽しめる

山頂に至るルートの選択肢は、山頂から見て北側にある長者の森、白岩登山口から入る2つと、南側にある栗生登山口から登り始める3つ。もっとも歩きやすく、アクセスもしやすいのは長者の森からスタートするルートですが、コースタイムは6時間弱、累計標高差も1,800m近くと、日帰りとしてはなかなか登り応えのある体力派向けの山です。

今回紹介する栗生登山口からのルートは、アクセスが今ひとつな分、登山者の姿は少なく、静かな山歩きを楽しみたい方にはぴったりの選択肢です。

■山頂からの景色は圧巻!

ルートはひたすら登りが続く修行系です。鎖場を抜けて、周りに岩が増え始めると、稜線はもうすぐそこ。ゴツゴツした岩の稜線を歩き、真新しい避難小屋を右手に進むと、やっと森が切れて視界が開けるところが山頂です。

ここまでずっと森の中を登り続けてくるため、ここから見られる壮大な景色はかなりのご褒美感があります。特に南から北まで丸っと見える八ヶ岳は圧巻ですので、ぜひ梅雨の晴れ間を狙って登ってみてください。

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