スペースデブリが自宅を直撃 家主がNASAを訴える

今年3月8日、米フロリダ州ネイプルズの一軒家を、円筒状の金属の塊が直撃した。屋根を貫き、床をも貫通したこの塊は、宇宙から落ちてきたスペースデブリだった。クランフィル・サムナー法律事務所はプレスリリースで、家主が損害賠償を求めてNASAを提訴したことを公表した。

アレハンドロ・オテロさんは事故当日、息子のダニエルさんを一人残して外出していた。ダニエルさんからの電話で異変を知ったアレハンドロさんは自宅に急行する。

「震えました。本当に信じられません。私の家に、これほどの被害をもたらす何かが猛スピードで降ってくるなんて。誰もケガをしなかったことに感謝しています」と、当時オテロさんはCBS NEWSの取材に対して語っている。

床下から回収した物体は、分析のためケネディ宇宙センターに運ばれた。NASAは4月、この塊の正体が廃棄する貨物パレットにバッテリーを取り付けるための部品であったことを認めた。パレットは2021年に宇宙ステーションから放出されたもので、地球の大気圏に突入する前に燃え尽きる計算だったが、一つだけ燃え残った部品がオテロさん宅に直撃したのだ。

オテロさんの代理人を務めるクランフィル・サムナー法律事務所のミカ・グウェン・ウォルティ弁護士は提訴にあたって公表した声明で、「私のクライアントは、この出来事が彼らに与えたストレスと影響を考慮し、十分な補償を求めています。もし破片が数フィートずれて衝突していたら、傷害もしくは死亡事故を起こしていたかもしれません」とコメント。

そして、「近年、宇宙への往来が増加していることにより、こういった問題はより現実味を帯び、深刻化しています。今回のケースは、スペースデブリが引き起こす損害に対する賠償請求の、将来における基準となるでしょう」と述べている。

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