都知事選「ポスター」風俗広告から動物まで混沌マックス…「全裸写真」「動物イラスト」貼った当事者たちの見解は

写真:Pasya/アフロ

「私ほんとにね、資格が必要だと思うんですよ。筆記試験とか、ある程度のね。面白いからやってみようみたいな人がいるとしたら、ほんとにやめてほしいと思う」

6月22日、小泉今日子が「TOKYO M.A.A.D SPIN」(J-WAVE)に出演し、乱立状態になった都知事選(7月7日投開票)についてこう語った。今選挙では、過去最多となる56人が立候補している。

「小泉さんはこれまでも政治的な発言をしてきました。2021年には、検察官の定年が63歳から65歳に引き上げられる法案に対し、抗議の意思を示しています。

今回の都知事選でも、候補者と関係がないポスターが貼られたり、売名行為ととられかねない候補者がいることに我慢できなかったのでしょう」(芸能記者)

確かに街頭の掲示板を見ると、小池百合子氏、蓮舫氏、田母神俊雄氏、石丸伸二氏などの候補者に混じり、女性のほぼ全裸写真や女性専用風俗店の広告、動物のイラストなどが掲げられる事態になっている。中央日報が報じたところでは、朝鮮学校の前に「竹島は日本固有の領土」と主張するポスターも貼られたという。

こうしたなか、本誌は「全裸ポスター」を貼ったことで、警視庁から都の迷惑防止条例違反の疑いで警告された、河合ゆうすけ候補に話を聞くことができた。

河合候補は「だって、合法だと思ったのです。以前も、裸で自分の局部にモザイクをかけたある候補者のポスターがOKだったこともありましたから」と掲示の背景を語る。

警視庁に呼ばれたときは、どのような状況だったのか。

「6月20日19時ころに携帯がなり、『警視庁に来てください』と言われたので、埼玉の自宅から警視庁に向かい、到着したのが22時ごろでした。

警視庁に入るとボディーチェックや荷物検査をされて、『速やかにポスターを剥がしてください。条例に引っかかる恐れがあります』と伝えられたので素直に応じました。

しかし、今回の件で反省はしていません。反省する意味がわからない。それが悪いなら、(今後)やらなければいいだけですから」

一方、今回、24人を擁立し、2万5000円寄付すれば、1カ所の掲示板で独自ポスターを貼れる仕組みを作ったNHK党・立花孝志氏は、こう話す。

「動物のイラストには、みなさんのいろいろな思いがつまっています。今回は殺伐とした都知事選なので、これを掲示板に貼って、都民のみなさんに見ていただきたいと思ったんです。『けしからん』というバッシングは予想どおりでした。

ただ、ポスターの枠が売れなかったのは予想外でした。(24人を擁立した供託金で)使ったのは7200万円、売れたのは700万円です。

もっとも、我々は儲けるためではなく、これだけの人数を擁立できる財力と人材があるんだということをみなさんに見ていただくことが目的でしたから」

政治ジャーナリストの宮崎信行氏は、今回の乱立について、問題点をこう指摘する。

「立候補には供託金300万円が必要で、これは票数が規定以下だと没収されますが、それ以上の宣伝効果が期待できると思った人が多かったのでしょう。

都知事選の政権放送は、候補者ひとりにつき30秒以内の経歴放送と5分30秒以内の政見放送のセットを2回、経歴放送のみを1回の計12分30秒が放映されますが、この経費は都の選管が放送事業者に支払うため、候補者の金銭負担はありません。

また、都内には約1万4000カ所にポスター掲示板があり、これも無料でポスターを貼れます。このほか、独自にYouTubeを流して収入を得る候補者もいます。今後の国政選挙でも、こうしたことが起きる可能性は十分にあります」

「立候補の自由」は民主主義の根幹なのだが……混沌マックスの現状を見ると、問題は山積みのようだ。

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