【日薬】骨太方針等でコメント/薬局情報のDX「質的向上に向けた大きな一歩」

【2024.06.24配信】日本薬剤師会は6月24日、「経済財政運営と改革の基本方針 2024」及び「規制改革実施計画」等の 閣議決定を受けて、山本信夫会長名でコメントを発表した。薬局情報のDXに関する記載については「質的向上に向けた大きな一歩」として評価した。

今調剤報酬改定へは「薬局の状況理解され」たが、「必ずしも満足とは言い難い」

骨太の方針については、我が国経済のデフレからの完全脱却を経済財政運営における最重要課題として、引き続き成長と分配の好循環及び賃金と物価の好循環の実現とともに、社会課題の解決と持続的な経済成長の実現に向け、戦略的な投資を速やかに実行していく方針が、また、経済・財 政・社会保障に関しては、長期的な制度の持続可能性を確保する方針が示されていると分析。
これに先立ち、厳しい財政事情の中、令和6年度調剤報酬 改定において薬局職員の賃上げを実施すること等の観点から調剤基本料が引き上げられたことにも触れ、「疲弊する薬局の経営状況が理解されたものと受け止めている」とする一方、「公定価格である保険調剤は急激な物価上昇等による経費増を直ちに価格転嫁できないことを踏まえると、必ずしも満足とは言い難く、政府におかれては今後の物価上昇や経済状況等を考慮し、継続的な賃上げ実施が可能となるよう、必要な対策を検討・実施すべきと考えます」と訴えた。

薬局DXの明記「シームレスな医療・介護連携、多職種連携、薬局・薬剤師業務の質的向上に向けた大きな一歩」

医療・介護・こどもDX分野については、「調剤録等の薬局情報のDX・標準化の検討を進めること」が明記されたことを評価。
薬局情報の標準化等に言及がされたことは、「シームレスな医療・介護連携、多職種連携、薬局・薬剤師業務の質的向上に向けた大きな一歩」だとし、「質の高い医療・介護サービスを実現するため、薬局も医療DXに遅れることなく適切に対応し、その実現に向けて取り組んで参ります」と決意を述べた。
一方、費用負担への支援も訴え。「業務のDXに係る薬局の費用負担の大きさから、その波に取り残される薬局がないよう、引き続き適切な財政等の措置が必要」とした。
2025年度薬価改定については、イノベーションの推進、安定供給 確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化等への配慮がなされた点については「評価できる」としつつも、「7年連続で実施された薬価改定による製薬企業、 医薬品卸売販売業、そして薬局に至る一連のサプライチェーン全体への財政的影響や、度重なる薬価改定による薬局経営等への影響にも目配りの利いた、国民が適時・適切に医薬品を入手可能とする抜本的な対策も必要」とした。

規制改革テーマの「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」ではリスト化への取り組み紹介

同日閣議決定された規制改革実施計画については、「デジタル技術を活用した新たな医薬品販売業の実現」や「在宅医療における円滑な薬物治療の提供」など、医薬品販売制度や医薬品提供体制に係る項目が引き続き掲げられていることに言及。
日薬としては、都道府県薬剤師会・地域薬剤師会とともに課題解決に向け、地域における薬局機能(外来・在宅・その他)及 び夜間・休日輪番薬局等のリスト化とその周知を図っていることを説明し、第8次医療計画における在宅医療提供体制の整備等のために「さらに取り組んで参ります」とした。

機能性表示食品問題「専門家が国民への正しい情報の提供を」

機能性表示食品については、今般の広範な健康被害に鑑みると、日薬としては、「医薬品の販売制度に関する検討会とりまとめや薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会での議論を踏まえ、医薬品はもとより、たとえそれが機能性表示食品を含む、いわゆる健康食品といえども他人任せにせず、専門家たる薬剤師や販売にかかる資質を持った者が、健康被害情報の収集や国民への正しい情報の提供等を通じ、必要な方に必要な薬剤等を必要な時に過 不足なく速やかに責任を持って提供できる仕組みの構築を目指して参ります」とした。

医療計画と整合性のとれた医薬品提供体制を構築へ

日薬では、今回の閣議決定を受け、賃上げが実施できる環境整備を図り、中長期的な社会の構造変化に耐え得る強靭で持続可能な全世代型社会保障システムの下で、薬局機能を強化し、医療計画と整合性のとれた医薬品提供体制の構築、セルフケア・セルフメディケーションへの支援、薬事衛生活動の推進やDXにより質の高い薬剤師サービスの提供に取り組む考え。地域行政当局との更なる連携強化を図り、地域の薬局が相互に連携・協力する成熟した「医薬分業制度」を確立し、国民の健康な生活を確保すべく努めていくとしている。

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