孤立出産した男児の殺害否認 タイ国籍の母親(25)の初公判

自宅の浴室で「孤立出産」した男の赤ちゃんを、浴槽に沈めて殺害し遺棄した罪に問われているタイ国籍の女の裁判員裁判が横浜地裁で始まり、女は殺害を否認しました。

タイ国籍のカオピアパニット・ジュン被告25歳は、おととし4月、川崎市中原区の自宅の浴室で出産した男の赤ちゃんを浴槽の水に沈めて殺害し、マンションのごみ置き場に遺棄した罪に問われています。

24日の初公判で、日本で生まれ育ったカオピアパニット被告は、日本語で「死体遺棄は認めますが、殺人は認めません」と述べ、起訴内容を一部否認しました。

冒頭陳述で検察側は、「被告は妊娠に気付いたが、中絶する費用がなく中絶可能な時期も過ぎてしまっていた」と説明し、赤ちゃんの父親で同居する交際相手を含め、誰にも相談せず隠していたと明かしました。

また、逮捕後の捜査では殺害を自白していたことから、殺人罪は成立すると主張しました。

一方、弁護側は、医療者の立ち合いなく一人で出産する「孤立出産」で、疲労や貧血で「出産直後に意識を失い、意識を取り戻したときには赤ちゃんは浴槽で亡くなっていた」と説明。

自白については、被告が知的障害のグレーゾーン「境界知能」だとした上で、「出産前後の記憶はほとんどなかったが、罪悪感などから殺害したと言ってしまった」などと主張しました。

判決は7月18日に言い渡される予定です。

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