「閻魔(えんま)」に魂を吹き込む 新作大型立佞武多 面の書き割り/青森・五所川原市

耳を澄ますと、どこからともなくおはやしの練習をする音が聞こえてくる季節になりました。心がじゃわめぐ話題です。青森県五所川原市で、新作大型立佞武多の面の書き割りが行われました。

まずは、右目のふちをスッと一筋・・・。筆先に精神を集中させるのはねぷた表現師の忠汰さんです。

立佞武多の館では面に墨を入れる「書き割り」が行われ、その様子が市民に公開されました。

「書き割りで8割が決まる」と言われるこの作業は、制作者の間では「魂入れ」とも呼ばれます。会場は息をのむような緊張感に包まれていましたが、忠汰さんはこのひと時を楽しんでいたようです。

【ねぷた表現師 忠汰さん】
「今回は本当に、早く書きたくて、という気持ちが強かったので、もう『行くぞ!』というその感じですね」

新作の題材は、地獄の王である「閻魔(えんま)」です。閻魔大王が、浄玻璃の鏡で人々の生前の行いを映し出し、裁きを下している場面を表現しています。

今回で7作目の制作となる忠汰さん。直近では「出雲阿国」や「かぐや姫」といった女性の題材が続いていました。

【ねぷた表現師 忠汰さん】
(Q.怖さとか強さを表現する時、書き割りの時は(女性を描く時と)何か違うものがありますか)
「もう勢いですね。男性というか、特に怖いという、恐れ多いというか、そういう題材ですので、荒々しくやったつもりです。いい意味で」

縦横およそ170センチの閻魔の面に、1時間ほどかけて命が吹き込まれました。

【ねぷた表現師 忠汰さん】
「すごく良いと思います」
「どう映るかというのは、実際お祭りの時に、祭りを楽しみながら、それぞれの方々が色々感じていただけたらなと思います」

全体の進ちょく率は、7割5分程度とのこと。ロウや色を付けた後、7月9日から組み立て始め、11日には高さ23メートルの「閻魔」が完成する予定です。

© 青森朝日放送