「強引な客引きで店に」「知らない間にクレジットカードで」北新地で昏睡強盗多発 紳士の社交場に異変

大阪・北新地のバーで、男性客に酒を飲ませて昏睡させ、現金を奪いとったなどとして、中国人の店長の女らが逮捕されました。日本有数の「紳士の社交場」として発展してきた「北新地」の関係者らは、街の変化に危機感を抱いています。

木村智子 記者

「大阪府警の捜査員に囲まれ、店長の女が建物から出てきました」

22日、昏睡強盗などの疑いで逮捕されたのは、大阪・北新地にあるバーの店長で、中国籍の董春雨容疑者(40)ら5人です。董容疑者と同じく中国籍の従業員の女は今年4月、男性客に酒を飲ませて昏睡させ、現金6万円を奪い取るなどしたうえ、バーが入るビルの通路に置き去りにした疑いが持たれています。

また、別の従業員の女3人も董容疑者と共謀して同じような手口で昏睡強盗未遂事件に関わった疑いが―。

被害を受けた客

「強引な客引きで店に連れていかれ、ホステスに強い酒を飲まされ、酔わされた」

「知らない間にクレジットカードで高額決済をされていた」

董容疑者のバーや系列の店では、こうした被害の相談がこの2年間で約60件寄せられ、被害総額は2000万円にのぼるとみられています。

事件の現場となった大阪・北新地。もともと大阪に4つあった花街の一つで、昭和の高度成長期のころ、高級クラブが次々とでき発展してきました。東の銀座とならぶ「紳士の社交場」として、クラブやバーの経営者らが品格を守り続けてきましたが―。

木村智子 記者

「そんな大人の社交場にいまある変化が起きています」

北新地によく来る人

「変わりましたね。夜になるとお客さんを連れ込むとか、声かける人が結構多いですよね。この辺でも(客引きが)立っていますよ、午後10時、11時くらいかな。昔はなかったですね」

北新地では近年、コロナ禍で減った客足を取り戻そうと強引な客引きをする店が目立つといいます。

北新地社交料飲協会・長瀧敏郎 理事長

「今まで北新地になかったような業態のお店がぽつぽつ時代と共に出てきたというのがあります。景気が悪くなって、よそ(他の場所)が悪くなって北新地だとひょっとしたら儲かるんとちゃうかという感覚だと思います」

北新地が変わりつつあるなかで起きた今回の昏睡強盗事件。警察は組織的な犯行の可能性もあるとみて調べを進めるとともに、悪質な客引きに注意するよう呼びかけています。

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