『ウズラの卵』誤嚥事故で出荷が落ち込み 在庫を市職員らが購入 200個超のダンボール箱が山積み

メ~テレ(名古屋テレビ)

愛知県が主要産地の「ウズラの卵」。小学生の誤嚥事故をきっかけに出荷が落ち込んでいます。おいしく栄養価の高い特産品を安全に食べてほしいと、関係者は苦心の呼びかけを続けています。

24日、豊橋市役所の農業支援課の前に200個を超えるダンボール箱が山積みにされました。 「こちらが今回、養鶉(ようじゅん)組合から購入した『ウズラの水煮』です」(豊橋市 農業支援課 高木美和さん) 東三河のウズラの卵は全国でシェア1位です。運び込まれた箱の中には、ウズラの卵の水煮がぎっしり。どれも賞味期限が7月中に迫った商品です。 「養鶉組合さんの方からウズラの卵の消費が落ち込んで困ってるとうかがう中で、今回賞味期限が迫った在庫を抱えてお困りだと。在庫を豊橋市の職員と市議会議員の方で購入し、食べて応援することにした」(豊橋市農業支援課 高木美和さん) 24日は在庫の一部を市の職員などに向けて予約販売しました。

ウズラの卵を詰まらせ死亡した事故が原因で

「ウズラの卵が売れない」…。発端は、九州のある小学校の給食に出た「おでん」でした。 2月、福岡県みやま市の小学校で、1年生の男子児童が給食中にのどを詰まらせて死亡する事故がありました。おでんに入っていたウズラの卵をのどに詰まらせたとみられています。 市の教育委員会は当面ウズラの卵を使わず、ほかの食材についても、提供時の大きさを検討することにしました。この問題は全国の小学校に広がり、再発防止のため、給食にウズラの卵を控える学校も増えたと言います。

普段に比べ抱える在庫が2倍に

「生産者の立場からすると、物の流通が止まるということは、生産状況にも影響する」(生産者) 豊橋養鶉農業協同組合よりますと、需要と供給のバランスが崩れてしまい、普段に比べ、抱える在庫が2倍に膨れ上がってしまっているとのことです。 文部科学省は、九州での給食事故を受け、都道府県の教育委員会などに「窒息事故の防止」を呼びかける文書を出しました。 愛知県によりますと「県内ではウズラの卵を引き続き給食で使用している」とのことです。また、三重県内では使用を見合わせる自治体も出ています。

需要の低迷を打破するために…

名古屋市に本社のある食品メーカー・天狗缶詰。給食向けの「ウズラの卵」製品の今年3月から5月の出荷量が、去年の同じ時期と比べて、約30パーセント減ったということです。 来月には給食が休みになる夏休みに入ることから、大量の在庫が積みあがる状況が懸念されています。 ウズラの卵の一大産地である愛知県。先週水曜日の県議会本会議では…。 「日本のウズラ卵需要に応える基幹的な役割を担う大変重要な産業であります。愛知県産のウズラ卵を全国にPRしてまいります」(愛知県 大村秀章知事) 需要の低迷を打破しようと、県は来月の大相撲名古屋場所の優勝力士にウズラの卵の水煮1万個を贈ると明らかにしました。 ウズラの卵は小さいながら、タンパク質や、血液の生成にかかわるビタミンB12などが豊富で、栄養価が優れているといいます。 県はコンビニエンスストアの事業者や量販店にもウズラの卵の魅力をPRし、消費拡大につなげていくといいます。

20回以上は噛むようにと指導

新城市の千郷小学校こちらの小学校では24日、ウズラの卵をたっぷり使った「ちゅうかスープ」が給食に並びました。 この学校では2カ月に1回ほどのペースでウズラの卵を使った給食が出ています。 食べるときには1口につき20回以上は噛むようにと指導しているといいます。 Q:教員は食べるときに注意する? 「最大限注意を払います。ウズラの卵に限らず、食べ方が悪いと危険を生じるものがたくさんあるということを子どもたちに知ってほしい。ゆっくり食べるとよりおいしくなるから、いいことばかりだということを小どもたちが体感してもらえば」(新城市立千郷小学校 岡田高明校長) 子どもたちが、よく噛むことの大切さを学んだうえで、給食にウズラの卵が提供されることは、”地産地消”を考えるいい機会だと捉えています。 「アンケートをとっても『僕はウズラの卵が大好きだ』という子たちがいて、隣町の豊橋市が日本全国ナンバーワンの生産量を誇っているということで、そこから食材に興味をもったり、生産者の気持ちを考えたりするとても良い教材の一つにもなると思います」(新城市立千郷小学校 岡田高明校長)

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