日本人の生涯年収は「3億円」って本当ですか? 年収「700万円超え」になると思うのですが、実際そんなに稼げませんよね? 老後も考えると「70歳」まで働くべきなのでしょうか…?

結論! 日本人の生涯年収は「3億円」もない!

独立行政法人労働政策研究・研修機構が行った調査によると、2020年における学校卒業後フルタイムの正社員を続けた場合における60歳までの生涯賃金は、学歴別に次のとおりでした(退職金を含めない)。

__・中学卒男性:約1億9000万円
・中学卒女性:約1億5000万円
・高校卒男性:約2億1000万円
・高校卒女性:約1億5000万円
・高専・短大卒男性:約2億1000万円
・高専・短大卒女性:約1億7000万円
・大学・大学院卒男性:約2億6000万円
・大学・大学院卒女性:約2億1000万円__

なお、大学・大学院卒男性の場合、企業規模1000人以上の企業では生涯年収が3億円に達します。しかし、999人以下の企業規模では3億円に達しないため、データ上は「大企業に勤めている大学・大学院卒の男性」でなければ、生涯年収3億円を実現するのは難しいでしょう。

60歳経過時点で定年に伴う退職金を受け取り、その後に平均的な引退年齢まで非正社員で働き続けた場合の生涯賃金は、次のとおりでした。

__・中学卒男性:約2億4000万円
・高校卒男性:約2億5000万円
・高専・短大卒男性:約2 億6000万円
・大学・大学院卒男性:約3億3000万円__

さらに、同資料によると生涯年収は長期的にみると減少傾向にあります。1990年から2000年にかけては、大卒の男性であれば生涯賃金の平均値は3億円を超えていました(同一企業に勤めている場合)。

しかし、2020年における大学・大学院卒男性の平均生涯年収は約2億6000万円です。長期的に右肩下がりになっている状況を考えると、今後も生涯年収が減少する可能性が考えられます。

FPが考える生涯年収減少中の日本人がやるべきこと

生涯年収が減少している中で、現役世代が収入を増やすために行うべきこととして、いくつか対策が考えられます。

可能な限り長く働く

可能な限り長く働くことで、生涯年収を増やすことが可能です。現行法では企業に対して65歳までの雇用確保措置が義務付けられており、70歳までの雇用確保措置が努力義務となっています。

今後は70歳までの雇用確保措置が義務化される可能性も考えられ、長く働ける環境が整備されることが期待されます。心身ともに健康を保ち、就労できるコンディションを維持することの重要性は高まっているといえるでしょう。

平均寿命が80歳以上まで延びている状況を考えると、70歳まで働くことは今後スタンダードになるかもしれません。

副業をする

本業とは別に副業をすることで、生涯年収を増やせます。昨今は隙間時間にアルバイトができるマッチングサービスや個人事業主向けのクラウドソーシングサービスが登場しているため、副業しやすい環境整備が進んでいます。

厚生労働省が平成30年1月に改定したモデル就業規則では「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」と記載されています。国を挙げて副業を推進していることから、多くの企業で副業を行えるようになってきています。

特に、個人事業主として副業を始めれば、自分の知識や経験を生かせる仕事を受注できる可能性があります。得意分野を武器にして副収入を得られれば、モチベーションも維持しやすいでしょう。

ただし、副業をしすぎると心身ともに消耗し、本業に悪影響が出る可能性が否定できません。副業を行う際には、体力と時間をマネジメントすることを意識しましょう。

まとめ

日本人の生涯年収は減少傾向にあり、統計上では3億円以上の生涯年収を得られるのは限られた存在となっています。今後ますます生涯年収が減少する可能性があることを考えると、自分で年収を高めるための取り組みを行う重要性が高まっています。

可能な限り長く働き、副業を行うことで生涯年収は増やせます。心身の健康を維持すること、副業できるスキルや技能を習得する重要性は、今後ますます高まっていくでしょう。

出典

厚生労働省 副業・兼業の促進に関するガイドライン
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 2022 21 生涯賃金など生涯に関する指標

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社