誤って別の口座に「誤振込」をしてしまった…!返金してもらうことはできる?

誤振込は「組戻し」手続きで返金してもらえる

振込先の情報を間違って入力するなどして、誤振込をしてしまった場合、銀行はその取引の変更やキャンセルができません。しかし振込人が「組戻し」の手続きをして、振込金を返金してもらうことは可能です。

組戻しの手続きには、本人確認書類・キャッシュカード・届け印・ATM利用明細票または振込金受取書などが必要です。インターネットバンキングで振り込みをした場合は電話、または近くの店舗で手続きを行います。

組戻しの手続きを行うと、振込先金融機関を通じて受取人に連絡を取り、返却の承諾を得る必要があります。受取人の承諾が得られない場合は、返却されません。

銀行によって、組戻手数料が660円または880円ほどかかりますが、受取人の承諾が得られるか否かにかかわらず、手数料は返金されない点に注意が必要です。また返却があり、正しい情報で再度振り込みをする際は、振込手数料が新たに発生します。

誤振込のお金は「不当利得」に該当し返還の義務が生じる

誤振込をしてしまった場合、振込金を返却してもらえないのではないかと心配する人もいるでしょう。しかし民法では以下のように、誤振込のお金は「不当利得」とみなされる可能性があると考えられます。

・民法第703条
「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。」

さらに誤振込があったことを知っていながら、ギャンブルなどで使われてしまった場合は、悪意があるとみなされ、受けた利益に利子をつけて返還しなければならない旨が以下のように記されています。

・民法第704条
「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。」

返金に応じてもらえない場合の対処法

誤振込を受けた人が、返金に応じずに、振込金に手を付けてしまうケースも考えられます。組戻しの手続きを行ったにもかかわらず返金に応じてもらえない場合は、警察や弁護士などへの相談を検討しましょう。

ここで注意したいのは、受取人が誤振込だと知らずに使ってしまうと、返金してもらえない可能性があることです。民法第703条では、返還義務があるのは「その利益の存する限度において」とあり、誤って振り込まれた相手が返還すべきお金を持っている範囲内でのみ可能であることが分かります。例えば、誤振込だと気づかずに本来返還すべきお金をギャンブルや浪費で使ってしまった場合などは、返還されない可能性があります。

誤振込が判明した時点で、直ちに組戻しを行って相手に気づかせる必要があります。そのうえで、返金に応じてもらえない場合は警察や弁護士に相談しましょう。

誤振込は「組戻し」を行えば返金してもらえる! 拒否される場合に備えて早めの行動が大切

入力ミスなどで誤振込をしてしまった場合は、組戻しによって振込金を返金してもらえます。ただし返金には相手の承諾が必要で、拒否をされると警察や弁護士に相談が必要なケースもあるでしょう。

民法では、誤振込のお金は不当利得とみなされ、受け取った側には返還義務が生じます。
裁判になる場合は、誤振込に気づいているか否かや、何に使い込んでしまったかなど、個々の状況に応じて判決が下されるため、誤振込をしてしまった時点で早めの行動をするようにしましょう。

出典

e-Govポータル 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第四章 不当利得 第七百三条(不当利得の返還義務)、第七百四条(悪意の受益者の返還義務等)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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