「豚肉ショック」家計の味方“豚肉”にも物価高 輸入するエサが高騰 牛や鶏も値上がりの懸念「もう牛肉は手が出せないとか…」

家計の味方「豚肉」がかつてなく値上がりしていて、スーパーや飲食店などから、悲鳴が上がっている。今後、価格は落ち着くのだろうか?

■豚肉の価格高騰の理由は海外輸入のエサ

こちらの店の名物は、分厚い豚肉を焼き上げ、ニンニクがたっぷり入った秘伝のタレで煮込んだ、トンテキだ。いま、店を悩ませているのが、豚肉の価格高騰。

HONMACHI豚テキ 伊原貴志オーナー:店を始めたのが13年ぐらい前。昔は、1キロが700円台。今は1200円~1300円。

開業以来、値段を上げずにきたが、定番の「シングル(200g)」の価格は据え置き、グラム数がそれ以上のメニューは値上げすることを決めた。

HONMACHI豚テキ 伊原貴志オーナー:シングルだけは頑張ろうと思っていた。長年、来てくれているお客さんもいるので。今回は泣く泣く。出れば出るほど、しんどくなっちゃうので。

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる「消費者物価指数」を見ても、豚肉は3年前と比べると10%以上、上昇している。一体なぜなのだろうか。

「国産豚」が高騰している背景について、専門家は…

広島大学生物生産学部 長命洋佑准教授:海外からの『飼料価格』が上がっている。牛だと粗飼料や牧草などがエサとしてあるが、豚はトウモロコシや大豆といった、農耕飼料がほぼエサなので、すごく直接影響を受けている。

豚のエサは、海外からの輸入が多くを占めていて、原油高で輸送コストなどが上がり、さらに、ここ最近の深刻な円安が、価格高騰をもたらしている。

また海外産、特にヨーロッパ産の豚肉も高騰している。中東情勢の緊迫化で、輸送路をう回せざるを得ず、コスト増加の原因になっている。

広島大学生物生産学部 長命洋佑准教授:今までのように、スムーズにモノが入ってこない。日本だけでなく、他の国もそうなっている。

■「豚肉の価格が一番大きく上がった」 価格高騰は夏が終わるまで続く?

食卓には欠かさせない豚肉、大阪市内のスーパーでは…

記者リポート:しゃぶしゃぶ、野菜いため、何でも使える豚肉の価格が値上がりしています。

こちらのスーパーでは、ことし3月ころから原価の値段は上がりつづけていて、現在、人気の豚のこまぎれは100グラム108円でなんとか値段をすえておいているが、厳しい状況だ。

越前屋・精肉部 岡野さん:ふり幅的にも、豚肉の価格が一番大きく上がった。(100グラム当たり)プラス25円~30円の幅があるって思ってもらって。赤字覚悟って言ったら、ちょっと大げさなんですが、あまり利益は考えないで、かつ品質を落とさないようにどうするか従業員一同で腕の見せどころといいますか。

さまざまな食品価格の値上がりが続くなか、お客さんの豚肉を選ぶ姿は真剣そのもの。

買い物客:豚肉はしょっちゅう買うけど、ちょっと上がってるかな。安い店を探し求めて、ここが一番近所では安い。

買い物客:孫らが来たら、お肉好きでしょう。そんな時は、少々高くても仕方がないと思う。孫が来て、たくさん食べられるように、野菜炒め作るけど、お肉をたくさん入れてあげないと機嫌が悪い。

買い物客:好みやろうけど、牛より豚の方が使いやすい。牛は私らの口にはしつこくなってきてるから。料理も使い回ししやすいし、(豚肉は)必ず置いとく。(Q.豚肉の値上がりの影響は?)大きいと思います。

今後、豚肉の値段は安定するのだろうか。

越前屋・精肉部 岡野さん:今後もう少し、長く続くのではないかなと思っていて、夏の暑い時期が終わるまで、ちょっとこの状況が続いてしまうかな。

専門家は豚肉だけでなく、牛肉や鶏肉、すべての価格が今後さらに上がる懸念を持っている。

広島大学生物生産学部 長命洋佑准教授:エサを海外に依存している限りにおいては、豚も牛も鶏も影響を受けると思う。牛肉を買えてた値段が、もう鶏肉の価格になったとか、もう牛肉は手が出せないとかっていうこともあるかな。

■物価高への対抗策は「国産化」 長い目で政府の支援も必要

牛も鳥も豚もということでつらいのだが…、価格高騰はこのまま続きそうなのだろうか。

関西テレビ 加藤さゆり報道デスク:専門家によると、価格を下げるための手立てとしては、飼料の国産化しかないとおっしゃっていました。というのも、輸入にかなり頼っています。トウモロコシとか大豆を、例えば日本国内で大量生産して大量に供給できるようになれば、安定的に生産体制が整うということです。そういったところに参入したいと思う方も増えてはいますが、ただ道のりとしては難しく、たくさん生産しようと思うと国土が要りますが、なかなか日本はそういうところが難しいです。国もそういったところに手厚い支援を継続的にできるかっていうところが、これからキーワードになってきます。

国内自給率を上げていくっていうことも大切だということだ。消費者とすると国産の農産物を選ぶなど、関心を持つことがまずは大切だ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月24日放送)

© 関西テレビ