Meta Quest 3で日常生活がより”豊か”に! 「MR HOUSE」体験レポートペットとのふれあいやマルチディスプレイ環境、トレーニングまでQuest 3一台で

by 畠中健太

【MR HOUSE】

6月24日 開催

Metaは6月24日、VR/MRヘッドセット「Meta Quest 3」のユニークな活用方法を体験できるデモイベント「MR HOUSE」をメディア向けに開催した。

「Quest 3」は2023年10月に発売されたMetaの最新VRヘッドセットで、本体前面にあるRGBカメラによるフルカラーパススルーによってMR(複合現実)にも対応している。「MR HOUSE」は日常生活でQuest 3を活かした体験を提案するイベントで、VRでの没入体験だけでなく、MRを活かした体験など、6つのシーンを展示、体験できた。本稿では実際に「MR HOUSE」に参加した筆者の感想や、体験中の様子を簡単に紹介していきたい。

なお「MR HOUSE」はメディア向けイベントで一般参加はできないが、一般向けイベントとしてRAYARD MIYASHITA PARKにて「四畳半MIYASHITA PARK by Meta Quest 3」が7月7日まで開催されている。こちらではVRゲームを遊んだり、MR機能を体験できるため、Quest 3が気になる方はぜひ参加してみてほしい。

会場となった「Araiya」。元々お米屋だった古民家をリノベーションした一軒家ホテルで、外観は日本の古民家そのままだ
会場内にはMeta Quest製品の展示もあった

可愛い“仮想猫”と戯れよう! シーン1「ペット不可の家でも、猫と遊ぶ」

最初はMeta Quest用ゲーム「もっと!ねこあつめ」で“ペット不可の家で猫と遊べる”体験だ。玄関でQuest 3を装着し、コントローラーを手に取ってアプリを起動すると、何もなかった場所に猫用の出入口が出現する。ここで猫を呼び込むことで、ゆるいイラスト調の可愛い“仮想猫”が出入口から入ってきて、足元に現れるのだ。MRによって、和風の玄関にあたかも猫が存在しているかのような、不思議な体験を楽しむ事ができた。

この仮想猫はエサを食べさせたり、バーチャルなおもちゃを使用して一緒に遊ぶことができるほか、コントローラーを使う事で実際に猫を抱っこして持ち上げる事もできる。また、仮想の猫に触れると振動で触れた事が分かるフィードバックが得られ、臨場感を高めてくれる。また、Quest 3の機能の一つ「ジェスチャーコントロール」にも対応しているので、自身の手をコントローラー代わりにして、仮想猫を撫でたりといったアクションも行なえる。

筆者は自宅で犬を飼っているが、Quest 3で何もないはずの空間で仮想猫に触れるのは、実際にその場にいる猫と戯れているかのような不思議な体験だった。一方で本作に登場する猫は、可愛らしいゆるいイラスト調で、明らかに仮想の猫だとわかるため、ゲーム感覚の要素が強い。そのため、個人的にはよりリアルなビジュアルの猫と戯れるアプリも見てみたいと感じた。また、猫以外の動物、具体的には犬や鳥、うさぎなど実際に飼える動物や、普通では飼えない動物と接することができるようなアプリがあれば、さらに驚きの体験が楽しめるようになると思うので、今後のアプリのさらなる展開にも期待したい。

展示場所にはそれぞれシーンごとのポップが用意されていた
本来何もない玄関の壁に猫用の出入口が出現!仮想の猫もゆるめのかわいいデザインだ(筆者が見ている映像をiPadに映し出している)
VR越しに見えている仮想猫と戯れる筆者の様子。実際に触っているという感触はないものの、振動によるフィードバックがあるため、臨場感は高められていた
ジェスチャーコントロールによって手で触れあうこともできる
写真を撮っていたら飽きてしまったのか、仮想猫が出入口から出て行ってしまった……

ノートPCとQuest 3で最大5画面のマルチディスプレイに! シーン2「マルチスクリーンで夢の作業環境を構築する」

次はいきなり現実的なシチュエーションだが、リモートワークなどで室内に巨大な仮想ディスプレイを複数台構築して仕事する体験だ。ここでは拡張ディスプレイアプリ「Immersed」を使い、MRで部屋の中に巨大な仮想ディスプレイを3つ設置して、会社の業務などが行なえる様子を疑似体験した。

現実空間の手元にはノートPCが1台置かれているのみだが、Quest 3越しに現実を見ると部屋の中に仮想ディスプレイが3つ設置され、広大な作業領域が現われる。「Immersed」はノートPCとペアリングしてマルチスクリーンとして動作しており、自由にマウスカーソルで行き来できる。さらに仮想ディスプレイの設置位置は自由に変更できるほか、サイズの拡大縮小も自由に行なえるため、狭い室内であっても巨大な画面が自由に配置でき、実際に複数のディスプレイを設置するマルチスクリーン環境以上の自由度を感じられた。

家庭内のネットワークに依存する面もあるため、Wi-Fi環境の悪い場所では、多少もたつきや遅延が発生する場合もあるが、無線LANの感度が良好であれば、遅延も感じられず快適にブラウジングやYouTubeの動画再生などが楽しめる。多画面環境が大好きな人には是非試してみてほしい機能だ。なお、今回の「Immersed」は無償版で画面が最大3つのみだが、有償版では最大5画面での作業が行なえる。

ソファとテーブルがあるいつものリモートワーク風景。1台のノートPCとQuest 3でマルチスクリーン環境を構築できるのが「Immersed」だ
PCとQuest 3をペアリングすると、視界には画像のような巨大な仮想ディスプレイが3台設置される
スクリーン上部のバーを操作することで、レイアウトを簡単に調整できる
パススルー機能で実際の物理キーボードも視認できるのはありがたい。ただ、今回は微かなズレを感じる場合もあった

日本でのサービスも期待したい! シーン3「部屋のインテリアを、大胆にシミュレーションしてみる」

続いては、室内に仮想の家具を置いてレイアウトをシミュレーションする体験だ。こちらは「joyverse」というアプリで、イスやベッド、スツールなど様々な家具を室内に配置して試す事ができた。これにより買って持ち帰ってからサイズが合わない、色合いがインテリアとマッチしないといった悲劇を回避できるというわけだ。

アプリを起動して設置したい家具を選べば、Quest 3越しに仮想の家具が出現し好きな位置に設置できる。家具のサイズはほぼ実寸大のサイズがそのまま表示されるため、回転や移動などの操作は行なえるが、サイズの調整は行なえない。

さらに本アプリで仮設置した家具については、アプリ上で直接購入できるのは非常に現実的でナイスだ。MR空間内に設置した状態とほぼ同じサイズの家具が家に届くというのはなかなかテンションの上がる体験と言えるだろう。模様替えが好きな人や、ユニークな家具をあれこれ設置して楽しむのが趣味の人に喜ばれそうな体験と感じられた。

ただし、1点だけとても残念なポイントを挙げておくと、ショッピング機能については現在日本国内の店舗では利用できない。これについては国内の家具メーカーと提携するなど、日本国内でも実際に体験できるようになってほしいと願うばかりだ。

今回仮想家具を設置する場所はこの部屋。細長いスペースのため、家具の設置には頭を悩ませるスペースと言える
「joyverse」を使って室内に椅子などの仮想家具を設置できる。アプリ操作で位置の移動や回転などが可能
現実の家具とほぼ同じサイズなので、事前にシミュレートしておくことで、実際に置いたらうまくはまらなかったり、色味が合わない、などの問題を回避できる可能性が高まる
海外では設置した仮想家具をそのまま購入できる。ただし日本の店舗が未対応なのは残念!
家具を設置しているところ。何もない部屋に仮想の家具を置くシミュレーションはインテリアに興味がなくても楽しめる

iPhoneで撮影した“空間ビデオ”も再生可能! シーン4「日々の思い出を、没入感のある形で楽しむ」

続いては、日々の思い出を没入感のある形で楽しむという体験。具体的に言えば、iOS 17.2以降を搭載したiPhone 15 ProおよびiPhone 15 Pro Maxで撮影可能な「空間ビデオ」をQuest 3で再生できるということだ。

空間ビデオとは、iPhone 15 Pro/Pro Maxで撮影可能な3Dビデオのこと。試しに実際にその場で撮影した空間ビデオを同期し、Quest 3のメディアプレーヤー機能で再生すると、奥行きのある空間ビデオが簡単に体験できた。日本では6月28日発売の「Apple Vision Pro」で楽しめる空間ビデオが、Quest 3でも楽しめるようになっているというわけだ。

他にもiPhoneで撮影したパノラマ写真を楽しむ機能も利用可能で、こうした日々の思い出の写真や動画が手軽に楽しめるのもQuest 3の魅力の一つと言えるだろう。

ソファの手前に設置されたシーン4のポップ
iPhone 15 Pro/Pro Maxで撮影した「空間ビデオ」がQuest 3で簡単に楽しめる
奥行きのある3D映像をじっくり堪能する筆者

寝ころびながらYouTubeも! シーン5「ベッドルームを最高の映画館に」

続いては、ソファやベッドなどで横になりながら大画面で映像を楽しむ体験だ。ここではQuest 3で動作する「YouTube」アプリがアップデートされたことで、親和性が更に高まった機能などについて体験した。

MRにより、室内の壁面上に最適なサイズで動画の仮想スクリーンを設置したり、自由にスクリーンのサイズを調整できるようになっているほか、スクリーンを天井に設置することも可能となっており、寝ながらでもYouTubeの映像が楽しめた。ほかにも、画質が向上したことで、360度見渡せるVR映像も従来より臨場感が向上しており、より大迫力の映像による体験が楽しめるようになっている。

Quest 3のYouTubeアプリを使う事で、スクリーンを自在に配置して楽しめるほか、サイズ調整も可能だ
天井にスクリーンを設置することで寝ながらでも映像が楽しめる。これは堕落する……
360度見渡せるVR映像も画質が向上しており、臨場感が増したが、動きが激しい映像ではちょっと酔った

気分爽快にトレーニング! シーン6「ジムに行かずにワークアウト」

最後はジムに行かずにワークアウトという体験で、こちらは「Les Mills Body Combat」というアプリで、MRにより室内に仮想のトレーニングルームを融合させ、ちょっとしたトレーニングが楽しめる体験となっていた。

今回試したのは、左右のコントローラーを使い、正面から飛んでくる標的を適度なタイミングでパンチすることで打ち落とすトレーニングだ。速度もほどよく、気持ちよく次々と飛んでくる標的をパンチして気分爽快だった。ストレス発散や出不精な人が体を動かすのには丁度いい運動量と言える。

VRの場合、周囲の事を気にせずに楽しめる没入感の高さが魅力だが、一方で目の前の視界全てが仮想空間になってしまうと、周囲の状況が見えないという危険性がある。特にこうした身体を動かすようなアプリでは、周囲に誰かいたら……壁に当たってしまったらどうしようと不安になってしまう場合があるが、本作はMRにより、室内の風景と仮想トレーニングルームが融合した状態で表示されるため、こうした不安もなく、思う存分手足が振り回せて、心地よく体験できた。

シーン6では、この何の変哲もない部屋がトレーニングルームに大変身!
正面から飛んでくる標的をパンチで撃ち落とす身にトレーニングがスタート!
MR複合現実で周囲が見えているため、かなり伸び伸びと体を動かすことができた。日頃の運動不足もあって、体はかなり疲れた(VR/MRは無関係)

VR/MRは体感してナンボ! イベントや近くの量販店でQuest 3を体験してみよう

以上、Meta Quest 3を使用したVR/MR体験イベント「MR HOUSE」の体験の模様を簡単に紹介した。これまでにもVRヘッドセットは様々な物に触れてきたが、改めてQuest 3におけるVRとMRの魅力について再認識できる体験だった。特にMRによるリアルな風景と仮想現実の融合には、無限の可能性が感じられる。

同社がこうしたQuest 3を使ったリアルイベントを各所で実施しているのは、やはりQuest 3を含むVR/MRヘッドセットの魅力が、実際に触れてその身で体験してみないと実感できない面が多いからだろう。こうしたレポートだけでは伝わらない面もあると思うので、気になる人は最寄りの量販店での展示やイベント会場などに訪れて、1度触れて体験してみてほしいところだ。

Quest 3のシステムは日々バージョンアップを重ねているが、6月にリリースされたv66ソフトウェアアップデートにより、MRで使用するパススルー機能の画質などが向上し、よりリアルな画質を実現しているようだ。こうしたこまめな機能向上により、日々の体験が向上していくのは非常に好感触だ。

一方で個人的には74,800円という価格設定にまだ不満が残る。もちろん性能の向上などでより高コストになっているのは理解しているが、普及を促進するのであれば、7万円台はやはり厳しい設定と感じている。しかし、他のVR/MRデバイスの中には更に高額な価格設定の製品もある中で、最新の体験を最も安価に楽しめるデバイスがQuest 3である点も事実なのが悩ましい。

今回紹介したアプリやゲーム以外にも楽しめるコンテンツはかなり豊富になってきているので、こうした最新技術を楽しむのであれば「Meta Quest 3」は最適なデバイスの1つであることは間違いない。やや高額ではあるが、一足先に未来の体験を楽しみたいのであれば、ぜひ「Meta Quest 3」を検討してみてほしい。

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