by 鴫原盛之
【SDガンダムワールド ガチャポン戦士2 カプセル戦記(ファミコン版)】
1989年6月25日 発売
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1989年6月25日にバンダイ(現:バンダイナムコゲームス)が発売したファミリーコンピュータ用ソフト「SDガンダムワールド ガチャポン戦士2 カプセル戦記」が、本日2024年6月25日で35周年を迎えた。
本作は、CPUまたは2人プレイで対戦するシミュレーションゲームで、1987年にファミコンディスクシステム用ソフトとして登場した「SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ」の続編にあたる。ガンダム、ザク、ズゴックなどマップ上に点在する、または新たに生産したユニットを操作して敵軍のユニットと戦いながら進軍し、先に首都を占領したプレイヤーが勝者となる。
以下、40種類を超えるモビルスーツたちがSD化したユニットが登場する本作ならではの面白さを、筆者が発売直後からやり込んでいた当時の記憶をたどりつつ振り返ってみた。
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見た目はコミカルでも中身は超本格的。バトルモードの面白さは秀逸
本作の最も面白いところはズバリ、バトルモードを完全なアクションゲームにしたことに尽きるだろう。どのユニットも、ほぼ2頭身のSD化された可愛らしい姿で登場するが、その見た目からは想像できないほどの熱いバトルが展開される。
各ユニットの装備は3種類(※一部2種類のユニットもある)で、基本的にはAボタンがビームライフルなどの飛び道具、Bボタンがビームサーベルなどの接近戦用の武器、AB同時押しでバルカン砲などのサブウェポンを放つ。ユニットの性能はコストが高いほど優れており、例えば敵のZZガンダムに対し、初代ガンダムで正面からまともにぶつかると、あっという間に撃破されてしまうほどの大きな差がある。
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地形やランダムで出現するアイテム類を利用して、臨機応変に作戦を考えながら戦うのも本作の面白いところだ。
例えば、宇宙空間でのバトル中は慣性が働くため、宇宙での戦闘が苦手なタイプのユニットで戦うと操作がとても難しくなってしまう。常に浮力が働く水中では、浮力の影響を受けないズゴックやカプールなど、水陸両用モビルスーツのユニットが無類の強さを発揮する。
筆者は「機動戦士ガンダム」シリーズのアニメは第1弾しか知らなかったが、未知のユニットの特徴は遊んでいるうちに自然と覚えることができたので、ストレスをまったく感じずにプレイすることができた。とりわけバトルモードでは、たとえ性能が劣るユニットでの勝負を強いられても、どの武器を使い、どうやって命中させるのか、バトルが始まるたびに考えるのが楽しくてしかたがなかった。
また本作のバトルは、60秒以内に決着がつかなかった場合は引き分け(※正確には、残りHPの少ない側のユニットが数ブロック分飛ばされるペナルティを受ける)になるので、状況によっては徹底的に逃げ回り、破壊されずに生き残ったときも実に快感だった。
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「ガンダム」の世界観と戦略シミュレーションの面白さが絶妙に融合
マップモードでは、序盤戦は占領すると収入が増えるシティ(都市)やコロニー、ベース(補給基地)などを目標に各ユニットを進めることになる。やがてシティなどの周辺に両軍のユニットが集まると、必然的にあちこちでバトルが始まる。
ユニットによって移動力が、地形によって移動コストがそれぞれ異なるので、どのユニットをどこに動かせば相手よりも早く、最短の手順で前線に拠点を作れるのかを考えながらプレイするのがこれまた楽しい。
ホワイトベースやムサイなどの戦艦ユニットは、離れた位置から敵のユニットに向けてミサイル、またはビームによる間接攻撃も可能。また戦艦は、大気圏以外のすべての地形を移動コスト1で移動が可能で、なおかつ自軍のユニットを搭載したまま移動ができるので、生産コストは高いが作っておくとたいへん便利だ。
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ユニットの生産は首都、または自軍のガチャベースで行なう。性能の高いユニットほど値段が高く、完成するまでに掛かるターン数が長くなる。低コストのユニットを大量生産して素早く拠点を抑えるのか、それとも強力なユニットに絞って戦局を一気にひっくり返すのか、資金やターン数を計算しつつ、その作戦を考えるのも本作の面白いところだ。
敵軍のガチャベースは、ユニットを移動させると占領することができるので、ここでも必然的に激しい攻防が展開される。特に、強力なユニットを生産中のガチャベースの占領に成功すると、未完成のユニットごと敵の拠点を奪い取るれるので実に快感だ。
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前作「ガチャポン戦士」の段階で、基本的な面白さはすでに確立されていたように思われるが、本作は完成度がさらに増している。
その最たる理由が、CPUの思考時間だ。前作はCPUの思考時間の長さが欠点だったが、本作では大幅に短縮され、よりスムーズにゲームが進行するようになった。前作からユニットとマップの数がさらに増え、各ユニットにA、Bボタン同時押しによる第3の攻撃も新たに追加(※一部のユニットは攻撃の代わりに変形などの要素を追加)されるなど、ボリューム感も文句なしだった。
さまざまなユニットが操れる白熱のバトルと、マップ上での頭脳戦をいっぺんに楽しめる本作は、歴史に残る傑作であると筆者は断言したい。だが残念なことに、本作は2011年にWiiのバーチャルコンソールで配信されて以降、現在までに移植版が発売されていない。Nintendo Switch、あるいはその後継機などで、本作がまた遊べる機会に恵まれることを願ってやまない。
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