【巨人】〝気使いの男〟松原聖弥の西武移籍に期待と不安「もっとガツガツしちゃっていい」

西武へのトレードが決まった松原聖弥

巨人は24日に松原聖弥外野手(29)と西武の若林楽人外野手(26)のトレードを発表。未完の大器が新天地・所沢へ移ることとなった。

松原は育成選手として入団しプロ2年目の2018年途中に支配下登録を果たすと、21年には135試合出場で打率2割7分4厘、12本塁打と大ブレークした。背番号も「9」に変更されるなど首脳陣から大きな期待を寄せられていたが、翌22年は打率1割1分3厘と結果を残せず背番号は「59」に再変更。今季も13打数2安打、打率1割5分4厘と伸び悩み、ファームでの調整が続いていた。

師である亀井コーチからは「天才」と評され、その高いポテンシャルを認められていた一方で「もうちょっとだけ頭使えよ」と愛のあるハッパもかけられていた。移籍に際し「いざトレードとなると驚きが大きかったです」と率直な心境を明かしつつも「今の自分があるのもジャイアンツのおかげです。本当にお世話になりました」と感謝の言葉を口にしていた。

誰よりも「気遣い」ある選手だった。あるチーム関係者は「フリー打撃中のしぐさひとつとっても、優しさであふれていましたよ。若手選手はケース想定のためにボール球をシビアに見逃すことも多い中で、松原は打撃投手が投げ損じた時でも気を使わせないよう、わざと打ち返してあげたりしていた。それなのにうまく打てないと『すみません』と謝って、まるで自分のミスかのように振る舞っていたこともある」と松原の知られざる一面を告白。「打撃投手はもちろん、スタッフみんなから愛されていましたね」とも続け、その人柄を絶賛した。

一方で、別のチーム関係者は「聖弥は優しいがゆえに、周りに気を使いすぎるところがある。もっと『俺が、俺が!』で周りを蹴落とすくらい自我を出してもいいのでは。西武では、もっとガツガツしちゃっていいと思うよ」と性格に起因する控えめな競争意識に心配の声も寄せていた。

周囲のサポーターへの気配りを忘れず、誰からも愛された若武者。新天地のライオンズでは持ち前の長所を生かしながら、それまで陰に隠れていたハングリースピリットを前面に押し出すことができるか。

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