新品種「夢雪」28年春生産へ 収穫省力化、収益向上に期待 青森県産ナガイモ

新品種「夢雪」の特長などを紹介する栗林豊次長=24日、青森県庁

 青森県は24日、県産業技術センター野菜研究所(六戸町)が開発したナガイモの新品種について、名称を「夢雪(ゆめゆき)」に決定したと発表した。従来品種と比較してイモの長さがやや短く、形状がそろっているのが特長で、収穫作業の省力化や収益性の向上が期待される。生産者への種苗供給は早ければ2028年春の見通しで、29年秋の市場デビューを想定する。収穫量トップの座を北海道と争う県産ナガイモの生産力強化を目指す。

 新品種は従来系統の「園試系6」が基になっており、12年度に開発に着手。優れた種苗の選別を重ね、22年度に「青野ながいも1号」として育種を終えた。現在は生産者への供給に向け、種イモの増殖に取り組む。今年3月には品種登録を出願しており、認められれば県内3例目となる。

 イモの長さが従来よりも短いため、掘り出しやすく、作業中に折れるリスクが軽減される。形状のばらつきが少なく、扁平して等級が劣る「平いも」も減ると見込まれる。

 名称は産業技術センターと県職員から公募。「雪のように白くておいしいナガイモが全国で愛され続けるという夢をかなえる品種になれば」との思いを込めた。

 県によると食味は従来品種と同等で、県農林水産部の栗林豊次長は「新品種の供給によって、産地や生産者の選択肢を増やすことができる」と強調した。

 農林水産省によると、22年の県産ナガイモの作付面積は2220ヘクタールで、北海道の1870ヘクタールを抑えて全国1位。ただ、出荷量は北海道の6万6100トンに対して、4万1300トンの2位で、収穫量の向上などが課題となっている。

【全文】

© 株式会社デーリー東北新聞社