岡山環状南道路 工期に遅れ 軟弱地盤で難航 年度内開通不可能

岡山環状道路の一部を構成する岡山環状南道路。軟弱地盤の影響で工期が遅れることとなった。写真奥が岡山西バイパス方面=5月(国交省岡山国道事務所提供)

 国土交通省が2024年度中に開通を目指して工事を進めている岡山環状南道路(岡山市南区藤田―同古新田、2.9キロ)の工期が遅れることが24日、国交省岡山国道事務所への取材で分かった。干拓地の軟弱地盤のため重機が埋もれる状況に陥り、追加の沈下対策工事に時間を要しているためだ。岡山市街地の周囲を巡る地域高規格道路・岡山環状道路(外環状線、総延長約38キロ)の一部を構成するだけに、市中心部の渋滞対策に大きく影響する可能性がある。

 岡山環状南道路は外環状線のうち、国道180号岡山西バイパスを南に延伸して国道30号に接続する区間。外環状線が全線で開通すれば、山陽自動車道から岡山市南区の旧岡山港までの移動が現状の約53分からおよそ半分の約26分に短縮されると試算され、慢性化している市中心部の渋滞に加え、物流の活性化への効果が期待されている。

 2009年度に事業化され、12年度から工事を進めている。もともと干拓地のため水分を多く含んでおり、施工用の重機が地面に埋まる問題が当初から発生。従来の地盤補強に加え、土にセメントを混ぜてさらに硬くする「セメント攪拌(かくはん)」と呼ばれる地盤対策を強いられてきた。

 岡山国道事務所によると、追加の対策が必要なのは橋梁(きょうりょう)部などを除く計2.2キロの区間で、随時対策を施しながら路面の土台となる盛り土工事を進めてきた。マンパワーを増強するなどして遅れの解消に努めてきたが、当初の想定を上回る時間と労力を要し、24年度中の完成は不可能と判断した。

 岡山国道事務所は「渋滞の改善に期待を寄せてもらっている道路だけに、予定通りに開通させられず申し訳ない。引き続き早期の完成を目指して最大限努力したい」としている。

干拓地で地盤が軟弱なため、走行用ベルトの一部が地面に埋まっている重機=2022年7月(国交省岡山国道事務所提供)

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