自民「抜け道なら何らか対応」の今さら…武見厚労相も悪用した「脱法オンライン・パーティー」続出確実

成立したとたんにコレだ(自民党の田村憲久政調会長代行=2020年、政治資金パーティーに出席していた頃)/(C)日刊ゲンダイ

「抜け道と言われれば、そうなる可能性があります」──。自民党の裏金事件を受けて19日に成立した改正政治資金規正法をめぐり、同党の田村憲久政調会長代行が23日のフジテレビ番組で、そう開き直った。先の「裏金国会」は裏金づくりの温床になった政治資金パーティーの規制が争点だったのに、成立した途端にコレだ。

改正法はパーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5万円超」に引き下げたものの、パーティー開催に回数制限はない。回数さえ増やせば、従来通り政治資金をガシガシ集められる。

この抜け道について、田村氏は番組で「(実際に人を集めた)リアルなパーティーをやらなきゃいけないので、大変な負担が政治家の方にもかかる。今までみたいにはいかないと思います」と反論したが、手ごろに開催回数を増やせて、かつ、公開基準にも引っかからない抜け道もある。コロナ禍で広がったオンライン・パーティーだ。

「オンラインなら開催側の負担が軽い上、政治資金パーティーともみなされない。規正法を所管する総務省によれば、『人を集めずにオンラインだけで開催するものは、人を集めて行う催し物と解すことはできない』。つまり、『オンラインなら政治資金パーティーではない』という解釈です。したがって収入明細の記載も必要ないし、パー券購入150万円の上限規制もかからない。政治資金パーティーよりも簡単に裏金をつくりやすい悪質な仕組みが残されたままと言えます」(政治資金に詳しい神戸学院大教授・上脇博之氏)

高利益かつ透明性は低い

この抜け道を悪用したのが武見敬三厚労相だ。自身が代表を務める資金管理団体「敬人会」が2021年に開催した計4回のオンライン形式の勉強会やセミナーはいずれも報告義務が課せられる「収入1000万円以上」だったにもかかわらず、収支報告書には「その他の事業」として記載。収入だけ載せ、集めた人数や購入者の名前は一切ナシだ。野党から「外形的には政治資金パーティー」と集中砲火を浴びた。

番組でオンライン・パーティーについてツッコまれた田村氏は、「抜け道になるとすれば、何らかの対応をしないといけない」と主張。「透明性がないとすれば、見直す必要がある」と言い放った。何を今さら、である。

「いかに規正法の“改正”が自民党にとって都合の良い茶番だったか。オンラインなら飲食なしで1人2万円の高利益を上げることも可能ですし、購入者が分からないため透明性は低い。今からでも一定の規制を課すべきです」(上脇博之氏)

自民党には租税特別措置法の網の目をくぐって所得税控除を受けていた議員も複数いる。セコイ連中によるオンライン・パーティー続出は必至だ。

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