時のまち・明石で 日本最古級の時計台・辰鼓楼の謎を「ときあかし!」 明石市立天文科学館

展示風景:辰鼓楼の機構部 初号機と2号機

兵庫県豊岡市出石町にある辰鼓楼。国内でも最古級の時計台のひとつで、現在は4代目が時を刻んでいます。明石市立天文科学館(明石市)では、辰鼓楼の現存する初号機と2号機を展示し、その歴史を紹介するとともに、日本の塔時計や時計台について紹介する特別展「ときあかせ!辰鼓楼 機械時計の謎」が開催されています。2024年7月15日(月・祝)まで。

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辰鼓楼は1871(明治4)年に建造されました。同時期に建造された北海道の有名な観光スポット・札幌市時計台は、辰鼓楼より27日早く稼働を始めていたことが、NPO法人「但馬國出石観光協会」が2021年に行った調査で分かりました。このわずか27日間が「日本最古の時計台」の座を譲り渡すことになりましたが、同観光協会が正直に発表したところ、好感を呼び、辰鼓楼はより注目を集めるようになりました。

ところで札幌市時計台の機械部分は米国製。では辰鼓楼はというと……よくわかっていません。残っている初号機は枠組みと一部の部品のみです。「(初号機の)構造は西洋式だが和時計のテイストもある。和洋折衷の時計。歴史的な資料としてみても面白い」と明石市立天文科学館の井上毅館長は話します。1953(昭和28)年に製作された2号機は、機械部分がほぼ完全な形で残っています。「そこに製造元とみられる明石市の地名が書かれていたんです。出石の時計が明石で作られていた! 地元の時計屋さんや大先輩の学芸員に聞いても初めて聞く話とのこと。兵庫県立大学などで調査を進めています。辰鼓楼の歴史とともにそのプロジェクトを紹介するのが今回の特別展です。なぜ出石の時計が明石で作られたのか、時のまち明石でその謎を『ときあかし』て、プロジェクトのお手伝いをしていきます。どんな調査結果になるのか、楽しみです」(井上館長)。

この他、特別展では、日本にある時計台や塔時計も紹介するとともに、エジプトで日時計が生まれた紀元前4000年からの歴史も振り返ります。

また、6月10日は時の記念日。子午線上に建つ同館では、この日、来館者に「子午線通過記念証」を配布。開館前から多くの人が列を作り、担当者は「毎年楽しみにしている人も多い」と話していました。

◆特別展「ときあかせ!辰鼓楼 機械時計の謎」
会期 2024年6月8日(土)~7月15日(月・祝)
会場 明石市立天文科学館 3階特別展示室 (兵庫県明石市人丸町2-6)
休館日 月曜日 ※ただし7月15日(月・祝)は開館

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