平和大通り、この1年余で倒木3件 支柱で補強した樹木も倒れる 広島市は点検項目見直しも

平和大通りで倒れたアメリカサイカチが撤去された跡

 広島市中区の平和大通りで街路樹の倒木が相次いでいる。この1年余りで3件発生。23日に被害のあった木は樹齢約70年で支柱により補強され、昨年9月の一斉点検では経過観察になっていた。市は今秋も一斉点検を予定しているが、市民が行き交う通りだけに速やかな対策強化が求められる。

 新たに倒れたのは中区鶴見町の平和大通り南側の緑地帯にあったアメリカサイカチで、高さ約10メートル、幹回り2・3メートル。けが人はいなかった。市は24日、幹を小分けにして撤去。大雨の影響で根元から折れたとみており、近く樹木医と詳しい原因を調べる方向だ。

 平和大通りでは、昨年3月にクヌギ(高さ約16メートル)が倒れ、8月にはトチノキ(同約7メートル)の幹が折れた。9月に樹木医が約1800本を一斉点検し、今回のアメリカサイカチは「著しい被害が見られる」と判定。ただ2020年から支柱による対策がとられており、伐採を見送った。

 市によると、この木はミュージカル「エビータ」で生涯が描かれたアルゼンチン大統領夫人エバ・ペロン氏から平和を願って贈られた種から育った。死去の翌年1953年に届いたという。通りにはほかに、財政難の市が57、58年に広島県内の自治体に呼びかけた「供木運動」を機に、国内外から寄せられた木が多く植樹されている。

 中区維持管理課は本年度も9月以降に一斉点検を始める構え。今回の倒木の原因が判明すれば点検項目の見直しを検討する。「経過観察中の高木の点検を優先し、平和大通りを通行する市民の安心安全のため再発防止に努める」としている。

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