さいたま市職員を刑事告発 市長印こっそり使い契約書偽造か 許可なく市有地を売る 50代課長補佐級の男性

さいたま市役所=埼玉県さいたま市浦和区常盤

 JR与野駅西口土地区画整理事業を巡り、不適切に市有地が売却された問題で、埼玉県さいたま市は24日、売却に関わった市都市局与野まちづくり事務所=当時=の50代の課長補佐級男性職員を、有印公文書偽造・同行使容疑の可能性があるとして、浦和西署に刑事告発した。同日午前、同署が告発状を受理した。

 市都市局などによると、男性職員は市の意思決定を経ずに今年1月10日、市有地を行政財産のまま売却。同日に入金があり、同月23日には売却相手へ移転が完了していた。男性職員は売却する際、同事務所の鍵付きの保管庫で管理されていた市長印を押し、土地売買契約書を偽造。市は浦和西署への相談や内部調査などから、事件当時に与野駅西口土地区画整理事業の主担当だった男性職員が関与している可能性が高いと判断し、告発に踏み切った。

 市は4月25日に事案を覚知し、5月23日に調査検討会議を立ち上げた。今月5日の市議会6月定例会開会日には、清水勇人市長が行政報告を行い、謝罪。市議会は、同6日の本会議で早急に刑事告訴するよう求める「市民の信頼回復に全力で取り組むことを求める決議」を提出し、全会一致で可決されていた。

 市は引き続き、土地の売却相手に対して土地の返還に向けた任意協議を継続するとともに、不適正な事務処理の発生原因や動機、判明した課題などを整理し、再発防止策を検討するとしている。調査検討会議の調査結果などは今月末をめどに公表する予定。

 清水市長は「警察と連携し、事件の全容解明に向け協力していく。一日も早く事件が解決し、再発防止の取り組みにより、市民の皆さんの信頼を取り戻せるよう全力を尽くす」とコメントを出した。

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