企業向けサービス価格、5月は前年比2.5%上昇 人件費の転嫁などで=日銀

Kentaro Sugiyama

[東京 25日 ロイター] - 日銀が25日発表した5月の企業向けサービス価格指数は、前年同月比2.5%上昇した。伸び率は前月から縮小したものの、上昇は39カ月連続。同指数は企業間で取引きされるサービスの価格動向を示すもので、人件費などのコストを価格転嫁する動きが出ている。新たに設立した人件費投入比率に基づく分類指数では、労働需給と価格の相関関係が高い「高人件費率サービス」が同2.5%上昇で、伸び率は前月と同水準だった。

「諸サービス」、「運輸・郵便」、「情報通信」、「リース・レンタル」、「不動産」、「広告」、「金融・保険」の順で押し上げに寄与した。

「諸サービス」は前年比3.3%上昇。「機械修理」や「廃棄物処理」は人件費など諸コストを価格に転嫁する動きから前年比プラスが継続。「宿泊サービス」はインバウンド需要を含めた人流回復が引き続きプラスに効いた。

「運輸・郵便」は同2.9%上昇。「道路貨物輸送」で「2024年問題」への対応も含めた人件費の上昇分や、過去の燃料コスト上昇分などを転嫁する動きが出た。「道路旅客輸送」は労務環境改善などによるタクシーやバスの値上げを受けて前年比プラスとなった。

公表している146品目のうち、前年比で上昇したのは109品目、下落したのは20品目。日銀の担当者は「今月は価格改定月の4月の次の月ということもあり、全体としては小幅な動きとなった」と説明した。引き続き人件費を価格に転嫁する動きや、国際商品・海運などの市況動向が与える影響を注視していくとした。

<高人件費率サービスは前年比2.5%上昇>

日銀は同指数について5年に1度の基準改定を行い、今回から2020年基準に移行した。デジタル化の進展や働き方の多様化に伴う新しいサービスを中心に調査対象を拡充。基調的な動きを左右する人件費の影響を把握するうえで有用として、企業向けサービス価格を構成するサービスを「低人件費率サービス」と「高人件費率サービス」で再分類した指数も新たに設立した。

人件費比率で分類した指数は1985年1月からデータを算出。5月の高人件費率サービス指数の伸び率は前年比2.5%と、前月と同水準だった。日銀の担当者によると「土木建築サービス」や「給食サービス」、「ソフトウェア開発」などで前年比プラス幅が縮小した一方、「廃棄物処理」などでは引き続き人件費転嫁の動きが見られた。

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