脱炭素熱処理炉を初受注 大同特殊鋼、浜名部品工業から

 大同特殊鋼(本社名古屋市)は24日、脱炭素化を実現する熱処理炉「連続式真空焼鈍炉」を自動車部品メーカーの浜名部品工業(本社湖西市)から受注したと発表した。同熱処理炉の受注は初めて。2030年までに6~8基の販売を目指す。自動車業界全体で脱炭素化への取り組みが求められる中、需要を取り込む。

 同熱処理炉は、ヒーターで加熱する方式を採用してエネルギーに電気のみを使うのが特長。実質的に二酸化炭素(CO2)を排出しない「カーボンフリー電力」を用いることで脱炭素化を可能とする。

 また炉内を真空状態にして熱処理を行うため、従来の設備のように材料に酸化などが生じるのを抑える。従来は酸化などを抑制する目的で化石燃料由来の雰囲気ガスを利用していたため、その分のCO2排出も削減する。これまでは磁石製造の焼結工程向けに同様の熱処理炉を販売し、真空技術のノウハウを培ってきたという。

 このほか、炉周囲への放熱がないため快適な作業環境の実現に貢献する。高温強度に優れるカーボン材をヒーターなどに使用することで、炉内部品も長寿命化している。

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