会社「更新しません」に年金月5万円〈80歳・警備員〉の絶望「働かないと生きていけない…」八方塞がりの高齢者を救う公的サポート

(※写真はイメージです/PIXTA)

長寿化が進むなか、高齢者の働き方に変化が起き、「いつまでも働きたい」というニーズに応えてくれるようになっています。しかしそれにも限界はあるようで、「働きたくても仕事がない」と困窮する高齢者も。みていきましょう。

スポットワーク拡大!高齢者の働き方にも変化

アルバイト仲介アプリを手掛けるタイミーが7月にも上場するというニュースが報じられました。空き時間で仕事ができる「スポットワーク」仲介の大手であり、タイミーを知ってからスポットワークという働き方があることを知った人も多いのではないでしょうか。

スポットワークの募集で多いのが人手不足が深刻な飲食業や宿泊業。隙間時間をお金に変えることができると、若年層を中心に従事者は増加の一途を辿っているとか。

さらにスポットワークを活用しているのが高齢者。68歳のおひとり様女性もアプリを使いこなし、スポットワークで収入を得ているひとり。飲食店のヘルプや賃貸マンション内の清掃など、1日2~3時間程度働き、月3万~4万円程度の収入を得ているとか。

――この物価高で月8万円程度の年金ではとても暮らしていけない

――ちょっと空いた時間で働いてお金になるから、本当に便利

管理的な作業の募集も多いスポットワークは、物価高で生活苦に直面する年金生活者にとってはまさに救世主。

変わる高齢者の働き方。一方で「働きたいのに働けない……」と嘆く人も。今年80歳を迎えるおひとり様男性。長らく、警備員として働いてきましたが、80代になるタイミングで契約は更新しないという通達があったそうです。

会社の規定でも契約は70代までとあったので契約更新しないという会社の判断は妥当な判断。しかし、男性は働かないといけない事情があります。

――年金は月5万円くらいしかないから、警備員を辞めたら暮らしていけないんだよ

警備員での収入は月15万円程度あったとか。生活を支えていた収入はなくなり後期高齢者医療保険や介護保険の支払いも難しくなってしまうとか。どうにか新たな職を探さないと、と焦る気持ちでいっぱいですが、求人を見渡しても80代OKの求人は皆無。

――働かないと生きていけない。それも叶わない……どうしろというのかね

仕事が見つからず生活苦に直面「80代無職の男性」を救うサポート

生活苦の高齢者をサポートする制度はいろいろとありますが、前出の男性の場合、まだ働く意思があるので、失業保険がもらえるかもしれません。失業手当では1日当たりの金額=基本手当日額。まずはハローワークに行って手続きをするのが第一歩です。

働くことができない、と判断されたら、生活保護を受けられるようになるかもしれません。生活保護は生活保護法により、憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障するもの。生活保護を受けるためには、「資産の活用」「能力の活用」「あらゆるものの活用」、さらに「扶養義務者の扶養」も期待できない場合に認められます。

仮に男性が東京23区に住んでいるとしましょう。生活保護費は最低家賃にあたる住宅扶助基準額含めて12.5万円ほど。そこから年金月額5万円を差し引いた7.5万円ほどが支給される可能性があります。

さらに生活苦に直面する高齢者のサポートとして覚えておきたいのが「年金生活者支援給付金制度」。「①65歳以上の老齢基礎年金の受給者」「②同一世帯の全員が市町村民税非課税」「③前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が878,900円以下」と、これらの条件を満たしていると、月額5,310円を基準に、保険料納付済期間等に応じた給付金が支払われます。

月々数千円のサポートではありますが、収入が限られてくる年金生活者にとってはとてもありがたいもの。対象者には日本年金機構から緑色の封筒に入った申請ハガキが届くので、必要事項を記入のうえ、返信すればOK。手続きした翌月分から支給の対象となります。

ほかにも、高齢者を対象とする給付金や支援金はさまざま用意されています。年金の増額は見込めず、一方で物価高が進むなか、八方塞がりな状況に陥る高齢者は今後ますます増えていくでしょう。手遅れになる前に、早めに行政に相談するのがポイントです。

[参照]

厚生労働省『雇用保険制度』

厚生労働省『年金生活者支援給付金制度について』

厚生労働省『生活保護制度』

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