熊本市役所本庁舎は『NTT桜町』に移転し中央区役所を「分棟」の方針 大西市長が正式表明「街のにぎわいつながる」

熊本市の大西一史市長は市役所本庁舎と議会棟について、『NTT桜町』の敷地に移転し建て替える考えを正式に表明した。また大西市長は、現在は本庁舎の中にある中央区役所について、本庁舎とは別に建てる「分棟」とする方針を示し、現庁舎裏にある市駐車場の敷地、もしくは花畑町別館跡地とする案も明らかにした。

本庁舎案を大西熊本市長が正式表明

熊本市がこれまでに示していた本庁舎の候補地は、中央区手取本町の現庁舎敷地、城東エリア、NTT桜町、白川公園の4カ所。そして本庁舎と同一の建物とせず、分棟とする場合の中央区役所の候補地として、花畑町別館跡地とみずほ銀行熊本支店を挙げていた。

6月24日は市議会・庁舎整備に関する特別委員会に大西熊本市長が出席し、「利便性が高く、災害対応力にも優れた庁舎として整備を行うほか、周辺エリア一帯のまちづくりも実施したい。本庁舎・議会棟については『NTT桜町』敷地に建設し、中央区役所は市役所駐車場敷地、または花畑町別館跡地のいずれかに分棟する方針で検討を進めたい」と自らの考えを明らかにした。

大西熊本市長は『NTT桜町』の敷地を選んだ理由として「バスターミナルに近く、交通の利便性が高い」「現地建て替えなら完成まで約14年かかるのに対し、約4年で工期が短くなる」などを挙げた。

「合築」と「分棟」それぞれの費用は

そして設計や現庁舎の解体費、建設費などを合わせた概算事業費は、中央区役所と合わせて建てるいわゆる「合築」の場合、現地建て替えよりも16億円多い約597億円。ただ現庁舎跡地を売却すれば約133億円の収益が見込まれるなどとして、合併推進債なども活用した場合の市負担額は約243億円になると試算している。

一方、大西熊本市長は現在本庁舎内にある中央区役所について、『NTT桜町』の敷地に合わせて建築する「合築」、それに「分棟」とする案を示し、分棟の際の建設地は花畑町別館跡地か、新たに市駐車場の敷地とする案を明らかにした。そのうえで、市としては中央区役所は分棟の方針で進めたいと述べた。

分棟の場合の概算事業費はいずれも600億円を超え、市負担額は約255億円から263億円としている。

熊本市は、『NTT桜町』の敷地に合築となれば、負担額は最も少なくなるものの、その場合、建物の高さが海抜55メートルを超え、景観を阻害する恐れがあること、そして分棟とした場合の方が、来庁者が街なかを回遊するエリアが広がり、賑わいが向上するとした。

委員からは丁寧な情報提供と費用精査の声

特別委員会の大石浩文委員は「(NTT桜町)妥当との立場です。今回の選定に異論はない」と述べた。

また、髙本一臣委員の「NTT側とは売却の合意はできているのか?」という質問には、村上英丈総括審議員が「NTT側からは売却の意向ありと聞いている」と答えた。

上野美恵子委員からは「市政史上始まって以来の大事業。将来ずっと借金を払っていかないといけない。これ以上は出さないというくらいの覚悟を議会に示して、この事業を進めていかないと将来の負担が増えていく」との指摘があった。

委員たちからは「市民への丁寧な情報提供を求める」意見や「現庁舎の解体費用などさらに精査が必要」といった声が挙がった。

次回に中央区役所の建設予定地示す

特別委員会終了後、大西熊本市長は「(移転建て替えは)経済波及効果も含めて、街の賑わいにつながると思うし、(今後)具体的にいろいろな選択肢を示せると思っている」と、本庁舎を『NTT桜町』に建設し、中央区役所を「分棟」とする熊本市の庁舎建て替え案に期待を寄せた。

大西熊本市長は、7月16日に開かれる次回の特別委員会で、分棟とする中央区役所の建設地について熊本市の考えを示すとした。さらに市負担額を大きく削減できる合併推進債を活用するためには、2024年度中に実施設計に着手する必要があるとし、近く建設地を決定した上で、9月議会に設計関連予算案を一括して提案する予定で、これが議決されれば庁舎の建て替えが正式に決定することになる。

(テレビ熊本)

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