ヨドバシAkiba、“見て・触って・体感できる”モバイルプロジェクターコーナーに大きな手応え

■メイン通路沿いに厳選12台+3台で導入の手軽さと魅力を訴求

モバイルプロジェクター人気が高まりを見せるなか、「見て、触って、体感できる」「今日から自室がミニシアター」「この一台でネット動画が楽しめる」と銘打ち新設された、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの「モバイルプロジェクターコーナー」が盛り上がりを見せている。

メイン通路に面して新たに構えた「モバイルプロジェクターコーナー」がお客様から注目を集めている。コンテンツも目を引くように明るい鮮やかな映像を多く用いている

プロジェクターが対前年比で大きく伸長しているという同店。そのけん引役をつとめるのが“モバイルプロジェクター”だ。「問い合わせも増えており、注目度も高まっています」と語る同店マネージャ・飯田勇一氏。その盛り上がりに応えるカタチで昨年10月、従来はホームシアター用プロジェクターと一緒にフロアの奥まったエリアで展開していたモバイルプロジェクターに、新たに専用コーナーを立ち上げた。

「従来のエリアは灯りが抑えられ、視聴環境の上ではメリットがあるのですが、お客様からすると敷居が高く感じられるようです。そこで、より多くのお客様にご体感いただこうと、エレベータ-を上がった正面右手、多くのお客様が行き交うメイン通路の動線に面して新しいコーナーを設けました」。

株式会社ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba マイホーム商品・TVチーム ソリューションプロフェッショナル マネージャ 飯田勇一氏
フロア奥でも引き続きモバイルプロジェクターコーナーを展開。写真奥の突き当りが暗室のホームシアター用プロジェクター視聴ルーム

売り場は壁面が白いパネルで覆われている。「“モバイルプロジェクター=手軽で多くの方に使っていただける”という意味合いから、一般のご家庭の壁を模した白いパネルを壁面に貼りつけました。スクリーンを使うことなく手軽に、『これ1台で簡単に使えるんだ!』と自分の部屋に導入したイメージを膨らませてもらえるようにしています」。

展示されているモバイルプロジェクターは、コンパクトなポータブルタイプを含めた12台。モバイルタイプは正面に設えた木枠で囲んだコンパクトなホワイトパネルに映像を投写するが、機器の向きを変えれば即座に、周囲の壁に映像を大きく映し出すことができる展示スタイルになっている。

ワイヤレスチューナーを用いて地デジの番組が視聴できる環境も整えられている。「テレビは欲しいと思わないけど、プロジェクターは欲しいという若い方が増えています。ただ、プロジェクターではテレビ番組は見られないからと悩まれるケースもあるようで、テレビ番組がプロジェクターでも見られるものもあることをきちんとお伝えしています。テレビの代わりにプロジェクターもいいねと選択肢を広げていただきたいですね」。

ピクセラのテレビチューナーを併せて展示して、対応するプロジェクターによるテレビ視聴をアピールする

■気軽に手に取り、実際に試してみるのが一番

コーナーに足を踏み入れるお客様は20代・30代が中心。男女比では女性が4割を占め、ガジェット系の黒物商品に比べると女性の比率が大変高くなっているのが特徴だ。

飯田氏は「バッテリーを内蔵し、自動台形補正やオートフォーカスなどセットアップも自動で行ってくれます。様々なコンテンツが楽しめるアプリを搭載し、スピーカーも内蔵している。プレーヤーを必要とせず、これ1台で完結して楽しむことができます。この手軽さをぜひ、売り場で実際に手に取って実感いただきたい」と力を込める。

商品には比較・検討がしやすいように、「明るさ」「解像度」「バッテリー(使用時間)」「スピーカー」「質量」「外形寸法」「投写画面サイズと距離」「プロフィール」がまとめられている

“プロジェクター”というとまだ、ホームシアター用の高価なものやビジネス用途のものをイメージする人が少なくない。「モバイルプロジェクターは設置や導入にも手間がかからず、従来のプロジェクターとはまったく違うもの。小型で軽量ですから、自分の部屋だけでなく、リビングに寝室にといろいろな部屋で使用できます。キャンプなどのアウトドアや皆が集まる場所など、色々なシチュエーションで楽しめるイメージを膨らませてもらいたい」と秘められたポテンシャルに大きな期待を寄せている。

接客時にも“手軽さ”をアピール。「ポンと置けば、台形だった映像も自動できちんと調整されます」とモバイルプロジェクターの敷居の低さを確認いただいた後に、画質の違いや使い勝手の違いへと説明をステップアップ。お客様がより長い間ご満足いただけるモデルへと導いていく。

■商品選びは使用する環境の「明るさ」に着目

購入価格のボリュームゾーンは10 - 15万円。当初はもう少し低めの購入額をイメージしているそうだが、説明が進み、自分に適切な商品がわかってくることで、自然と価格帯が上がってくるという。

「使用する環境によって画質は大きく変わります。壁の材質まではなかなかむずかしいので、まずは照度についてご案内しています」と明るさに着目する。コーナー内は灯りを落としているが、メイン通路に面しているため、暗めの場所と明るめの場所があり、自宅で使用を想定する場所の明るさがイメージしやすくなっている。

明るいメイン通路に面する一方で、映像が見やすいようにコーナー内の灯りは落とされている

展示でも、横並びになる3つのモデルに明るさの異なるものを揃え、違いがわかりやすく比較できるようになっている。さらに、「大きく写すために距離をとれば、当然、明るさは落ちてきます。商品は向きを変えるだけで、投写する画面の大きさを変えて確認できるようになっています」とコーナーの随所に商品選択のための工夫が凝らされている。

機種ごとの明るさの違いを比較しやすい工夫も。横並びで展示された各モデルの明るさは、右が400 ISOルーメン、中央が200 ANSIルーメン、左が100 ANSIルーメン。違いが一目瞭然だ
モデルの向きを変えるだけで、壁面に大きく投写して比較することができる

「明るい場所で使いたい、より大きく投写して使いたいというケースも多く、満足のいく映像で楽しむためには、適切な明るさ・画質の商品が必要です。レーザーを採用して凄く明るい映像が出せるものもあります。いろいろなシチュエーションで使用するケースも想定され、できるだけ明るいもの、対応力の高いものをお薦めしています」。

■「なんか面白そう」とふらっと足を止めるお客様

現在、売れ筋の商品とそのセールスポイントをお聞きすると、「明るさもありながら、非常にコンパクトで機能性も高い」というXGIMI「Halo+」、「新しいブランドになります。性能も高く、大きく写しても明るい映像で楽しめます」というDangbei「Atom」の名前が挙がった。

XGIMI「Halo+」
Dangbei「Atom」

続いて、「レーザーを採用することで明るさが確保されています」というAnker「Nebula Capsule 3」、さらに注目商品として「非常に画質が良く設置も容易なので、自宅で手軽にご使用いただけます」とJMGO「N1 Pro」をクローズアップした。

Anker「Nebula Capsule 3」
JMGO「N1 Pro」

コーナー内にはさらに、天井にシーリング型が2台、床に短焦点型が1台展示されている。モバイルタイプとは購入層や購入動機が異なり、シーリング型は事前に検討された上で、購入意欲を持って来店されるという。新築や転居のタイミングが多く、「機種の選択肢が増えれば、需要ももっと膨らんできます」と予測。

一方の短焦点型は専用のシアタールームを構え、シアターシステムを組まれている方。「まだ高額なものが多く、エントリークラスのモデルが増えてくれば、こちらも裾野はもっと広がります」と展望する。

シーリング型としてAladdin X「Aladdin X2 Plus」とAnker「Nebula Nova」の2モデルを展示
短焦点型はAladdin X「Marca」を展示する

「ヨドバシAkibaでは、プロジェクターはこれまでフロアの奥まった場所で展開していたこともあってか、目的を持ったお客様がほとんどでした。しかし、メイン通路に面した新しいコーナーを構えたことで、『何か面白そう』とふらっと通りがかりに足を止めていただけるお客様も増え、潜在需要をうまく掘り起こせています」と新しいコーナーが投げ掛けるメッセージが多くのお客様の心を掴んでいる。

家電量販店ではモバイルプロジェクターをひとまとめにしたコーナーを見る機会も増えてきたが、付け焼刃のような売り場が少なくないのが実情だ。飯田氏は「きちんとしたコーナーがお客様の動線にバンと構えている店はまだまだ少ない。モバイルプロジェクターという新しい商品をしっかりと前面に打ち出すことができました」と意気込む。

「需要が急拡大しているとはいえ、まだ“知る人ぞ知る”商品。小型化・高機能化・高性能化が進み、こんなにも手軽に映像コンテンツを楽しめる商品があることを、まずはひとりでも多くの人に知ってもらうことが大事」と話す。さらなる啓発に向け、メーカーからの一層の露出アップにも期待を寄せる。

「テレビ番組も楽しめるテレビに代わる新しい映像機器にもなります。モバイルプロジェクターってどんなものなのか。どんな映像が見られるのか。モバイルプロジェクターコーナーでは、YouTubeや動画アプリも一部使えるようになっています。ぜひ、実際に見て、触って、ご体感ください」。

ネット通販では叶わない、リアル店舗ならではの強みを存分に発揮するヨドバシカメラ マルチメディアAkibaモバイルプロジェクターコーナー。飯田氏は「次のステージでは、同じ映像で比較視聴できるようにするなど、よりこだわりの強い、少し上のレベルのお客様のニーズにもお応えしていきたいと考えています」と今後のさらなる進化も注目される。

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