楚国最大級王墓・武王墩墓、豪華な2千年前の饗宴

楚国最大級王墓・武王墩墓、豪華な2千年前の饗宴

 【新華社合肥6月25日】中国に「鐘鳴鼎食(しょうめいていしょく)」という成語がある。鐘を叩いて食事の時間を知らせ、料理を盛った鼎(かなえ)をいくつも並べて食べるという意味で、古代の貴族の豪勢な食事の様子を表している。史書によると、春秋戦国時代の楚国人の飲食は「食如玉」(食は玉のごとし)と呼ばれ、高級かつ繊細なものだったという。

 古代の中国において家畜の最も厳かな最後は祭祀(さいし)であり、牛、羊、豚が最も重要な供え物だった。安徽省淮南市の武王墩(ぶおうとん)墓から出土した列鼎(れつてい、大きさの異なる一組の鼎)などの青銅器からは大量の動植物遺物が見つかった。動物は黄牛や豚、犬、獐(のろ)、鹿、鴨、雉(きじ)など10種類余りの骨が見つかり、鮎やアオウオなどの魚も含まれていた。

 植物はひょうたんやマクワウリ、梅、栗、マクワウリの種、ハスの実などの瓜や果実のほか、ナッツや栗、キビ、水稲などの農作物、花椒(かしょう)やゼニアオイなどの香料、さらには伝統的な薬用植物の呉茱萸(ごしゅゆ)も見つかった。これらの遺物については、埋葬時期が植物の成熟する夏や秋だったとする専門家もいれば、被葬者が生前好んだ食物だったと推測する学者もいる。

 今回の調査では、いくつかの烹煮器(ほうしゃき、なべ・かま類)から少なくとも十数種類の料理が見つかり、食物を縛る縄も発見された。梅と豚、ひょうたんと鶏、豚と牛など複数の素材を使った料理もあり、ネットでは「蒸乳猪(仔豚の丸蒸し)」「梅子排骨(豚の骨付き肉の梅干し蒸し)」「葫芦燜鶏(鶏肉とひょうたんの煮込み)」などの料理名が挙がるなど、楚国人が公式の宴会でこれらの料理を味わっていたことを示している。

 専門家は「動植物考古学は楚国人の飲食嗜好(しこう)や生活習慣を再現できるだけでなく、他の遺跡の遺物と関連付けることで飼育栽培や家畜化の歴史も知ることができる」と説明。現在の発掘のさまさまざまな側面が戦国時代の政治や経済、芸術などを研究、復元する上でより多くの実物資料をもたらしていると語った。(記者/屈彦、劉美子、陳諾)

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