「あのときやっておけばよかった」と後悔する前に…。デメリットを考慮しても、NISAが投資初心者におすすめな理由【税理士が解説】

画像:PIXTA

新制度の開始により、ますます注目が集まるNISA。特に、初めて投資をする方にとって始めやすく、おすすめの制度です。20代の税理士が0.6%しかいない中、23歳で税理士となった安江一勢氏の著書『26歳の自分に受けさせたいお金の講義』(すばる舎)より、一部を抜粋して紹介する本連載。安江氏が、初心者にNISAがおすすめである理由とその効果的な活用方法について解説します。

NISAは国からのプレゼント制度

「投資はまだまだ怖い」という方のために、いま日本では国民が投資をはじめやすくするために、ある制度が充実しています。

それが「NISA」です。正式名称を「少額投資非課税制度」と言います。CMや銀行、ネットなどで見たことがある人も多いのではないでしょうか?

NISAは毎年と言っていいほど頻繁に制度が変わるので、こまかい説明は本書では省きますが、何かとお伝えすると「NISAではじめた投資の運用益には税金を取らないよ」という嬉しい制度です。

通常、投資による運用益には税金がかかります。現在の税制だと、運用益に対する所得税及び住民税が20%(復興特別所得税を考慮すると20.315%)の税率で課税されます。つまり、稼いだ運用益の5分の1は税金で取られてしまうのです。

仕方がないことではありますが、なかなか痛い税金ですよね。しかし、NISAを使えば、この税金を課されずに済むのです。国が「この部分の税金は取らないから投資をはじめてね」と言ってくれているプレゼントのような制度なのです。そのため、投資をはじめるときには、とりあえずこのNISAを使わないともったいないです。

ただ、当然デメリットもあります。名前に「少額投資」とついている通り、決められた金額までの投資しかできません。

さらには、金融庁が認めた銘柄のみの投資信託だけにしか投資することができないため、知識をつけた方や投資中級者以上の方にとっては物足りない制度でもあります。ほかにも、運用損が出たときに税制の優遇が受けられなかったりもするので、メリットだけの制度ではありません。

それでも投資初心者の方にとっては、20%の納税をすることなく投資をすることができるので、これからはじめる人や片手間で投資をはじめたい人にとっては活用すべき制度です。

私も投資信託での長期投資をはじめた20代前半のときには、NISAではじめました。いまでもNISAで運用しているものはそのまま運用を続けていて、その運用をひっそりと見守っています。運用益に納税がないのはやっぱり大きいですよね。せっかくの国からのプレゼント制度なので、ぜひ積極的に活用していきましょう。

500円貯金をはじめるくらい気楽な気持ちで

具体的な活用方法としては、まずはNISAで投資をはじめ、投資のやり方がわかってきたり、さらに興味が出てきたりしたときには、NISA以外で投資額を増やしていくという方法がいいかもしれません。

言ってみれば、NISAとはあるひとつの財布のようなものです。堅実に運用をするNISAの財布と、積極的に運用をするNISA以外の財布の2つの財布で、それぞれの財布にあった運用をしていきましょう。

NISAがはじまったのは2014年なので、まだまだはじまったばかりの制度です。投資の効果があるかないかは置いておいて、数百円からでもはじめられます。NISA口座の開設もインターネットでできるなど、とても簡単です。

NISAをはじめたことで投資する元手以外でお金がかかることもないので、まずは気軽にはじめてみましょう。

さらに、2024年1月からは「新NISA」という制度が新たにはじまったことで、よりNISAがしやすくなります。新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類があり、まずはリスクの低い「つみたて投資枠」からはじめるのがオススメです。

まだNISA口座をお持ちでない方は、投資信託をはじめるときに、「NISAを申し込むかどうか?」を聞かれるので、とりあえず申し込みをして、NISA口座での積み立てをしていきましょう。

もしかすると今後、世間に投資が浸透したら、NISA制度も突然終わり、新たにはじめられなくなるかもしれません。「あのときやっておけばよかった」と思わなくて済むように、500円貯金をはじめるくらい気軽な気持ちではじめておいて、小さな投資生活をはじめていきましょう。

現代において、長期投資・少額投資は新たなお金の「常識」です。銀行預金での貯金だけという常識外な行動を取らないように、余剰資金や計画性貯金用の貯金ではじめていってくださいね。

安江 一勢

税理士

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン