【1%の衝撃】こんなに金利が上がって日本は大丈夫なの? 教えて個人投資家さん!

金利上昇は経済に「プラス派」vs「マイナス派」 個人投資家さんはどっち派?

調査は30~70代の現役の個人投資家を対象に「日本の金利上昇、経済にはプラス?それともマイナス?」という質問について「プラス」「マイナス」「分からない・どちらでもない」の選択肢から選んでもらう形式。

同調査によると「日本経済にプラス」と回答した割合が46.9%に達し、「日本経済にマイナス」の35.2%を上回ったそうです。今年3月末で1297兆円を超える「国の借金」や個人の住宅ローンへの影響など、金利上昇を不安に思う人にとっては意外な結果かもしれませんね。

図表① 日本の金利上昇、経済にはプラス?それともマイナス?

出典:日経CNBC

プラス派は「普通の国になるのがマイナスのはずがない!」

それでは具体的にどんな理由から個人投資家の半数近くが「経済にプラス」と回答したのでしょうか。調査に寄せられた声を拾ってみると、「円安に歯止めができて、輸入品(石油・原料・食料等)の円ベースでの物価が落ち着く」

今年4月に為替レートが34年ぶりに1ドル160円を超えたのは記憶に新しいところ。急激な円安で輸入品を中心に物価が高騰し、私たちの家計を直撃しました。円安の原因の1つとして日本と米国の金利差を指摘する市場関係者もいますが、同様に日本の金利上昇が円安を食い止めると期待する、「こんなに長く異常な政策を続けては世界と足並みを揃えるのは難しい」「金利のある普通の国になるのが、日本経済にマイナスのはずがない」といった声が聞かれました。

2016年1月より日銀がマイナス金利政策を導入し、歴史的な低金利環境になった日本。ようやく今年3月にマイナス金利は解除されたものの、これまでの金融政策の特異さや弊害を指摘する声もありました。

「適正な金利があれば時間軸をより意識した経営に変わる」「早く金利を付けて、生き延びる企業だけをもっと伸ばす」。このように、金利が復活することで企業に変革を促すという声もありました。たしかに銀行が貸出金利を上げ、株主もさらなる配当や株価上昇を期待するようになれば、企業も低金利下と同じビジネスのやり方では通用しないかもしれません。投資家ならではの視点ですね。

金利上昇でも投資チャンス? 個人投資家が注目の「業種」はこれ!

図表② 最も注目している業種は次のうちどれですか?

出典:日経CNBC

ところで個人投資家は金利上昇局面でどんな業種に投資チャンスがあると思っているのでしょうか。調査によれば、個人投資家に「注目業種」を選択してもらったところ、「金融」の回答が36.7%に達しました。AIブームを背景に昨年からの株価上昇をけん引してきた「情報」の15.6%を差し置いて、金融は断トツの1位です。

たしかに金利が復活すれば、銀行は貸出金利を上げることができるので、収益が大きく改善しそうです。常に投資チャンスを狙う個人投資家にとっては金利上昇もまた注目材料の1つなのかもしれませんね。

一方のマイナス派は「いろいろ考えてマイナス要素しか思いつきません!」

次に金利上昇が「日本経済にマイナス」という個人投資家の声も聞いてみましょう。

「デフレマインドはまだまだ強く個人消費も冷え込んできている今、利上げはまだ早い」「弱体化した日本経済にはマイナス要因でしかありません」

物価高騰で家計が苦しく、消費を控える人が増えるなかで、金利上昇がさらに追い打ちをかけるという懸念の声がありました。実際、今年1~3月期のGDP成長率はマイナスに転落。物価高騰や株価上昇で忘れがちですが、かつての日本は「氷河期」といわれるほどデフレや不況が大きな問題でした。モノやサービスが売れなくなって、気がついたら昔に逆戻りなんてリスクもありそうです。

さらに調査では「分からない・どちらでもない」という回答も18%ありました。一部を紹介すると、「経済が回復基調になれば金利を上げられるということ」「経済全体でプラスかマイナスかは金利の上昇幅による」などの声です。

あくまで金利上昇は経済回復の結果に過ぎない、あるいは金利上昇の影響は経済にプラスとマイナスの両面があるので現時点では判断がつかないということでしょう。

このように金利上昇といっても、いろいろな見方があることがわかりました。金利上昇を過度に不安がらず、冷静に受け止めていくことが大事なのかもしれませんね。

調査対象:日経CNBC視聴者

有効回答数:128人(30代~70代の現役の投資家)
調査期間:2024年5月30日~2024年6月3日
調査主体:株式会社 日経CNBC

Finasee編集部

「インベストメント・チェーンの高度化を促し、Financial Well-Beingの実現に貢献」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAやiDeCo、企業型DCといった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。

© 株式会社想研