Apple Vision、空間コンピュータ廉価モデルの価格は24万円から?コストダウンに苦戦中か

Image:Michael Gordon/Shutterstock

アップルが空間コンピュータ(MRヘッドセット)「Apple Vision Pro」の廉価モデルを準備していることは、複数の情報源が伝えてきたことだ。このバージョンにおける課題は、「どの機能を削り、どの機能を残すか」だろう。

この点につき、アップルは「難しいトレードオフ(どちらを優先するか)に直面している」とBloombergが報じている。

アップルの内部事情に精通する記者であるMark Gurman氏は、ニュースレター最新号で同社が数年前から廉価モデルに取り組んでおり、1500~2000ドル(約24万円~32万円)を目指していると述べている。この安価なデバイス(コード名N107)を2025年末に市場に投入することは、Vision Pro発売前から計画されていたという。つまりVision “Pro”は、「下位モデルありき」というわけだ。

このApple Visoin(仮)の課題は、重要な機能を犠牲にせずにコストを削減することだ。そのために装着者の目を外側に表示するEyesightディスプレイを削除したり、内部ディスプレイの仕様を引き下げる。あるいは低性能のチップに変更したり、外界を見られるパススルーの品質を下げることもありうるという。

以前Gurman氏は、現在のMac用チップ(M2)に替えてiPhone用チップ、カメラを削減する可能性もあると述べていた。それでも独自機能であるEyeSightは削れないとしていたが、ハードルを下げたのかもしれない。

さらに、廉価モデル試作機はVision Proより視野が狭く、MacまたはiPhoneに接続して使うことも検討しているという。単体で使えるスタンドアローンという長所が消えてしまうが、興味を持つユーザーのほとんどはiPhoneかMacを持つ熱心なアップルファンと思われ、問題ないと判断しているのだろう。

とはいえ、ただ機能を削るだけでは、魅力に欠ける体験しか残らない。たとえ1500ドルであれ、競合するMeta製品(Quest 3は500ドル)の3倍であり、先進的な機能は死守せざるを得ないはずだ。

その一方で、アップルはARメガネ開発に新たな取り組みを始めたという。「一日中、気軽に着用できる軽量メガネ」を目指しているが、まだ初期段階とのこと。2027年頃の発売が噂されてきたが、少なくともGurman氏が話した従業員らは、数年以内に完成するとは誰も考えていないそうだ。

© 株式会社 音元出版