“圧倒的に好評”なPS1風ホラーADV『Crow Country』は不気味な廃墟探索、異形モンスターとの戦闘、謎解き…クラシックなサバイバルホラーの全てが詰まっていた【プレイレポ】

“圧倒的に好評”なPS1風ホラーADV『Crow Country』は不気味な廃墟探索、異形モンスターとの戦闘、謎解き…クラシックなサバイバルホラーの全てが詰まっていた【プレイレポ】

今回はSFB Gamesが手掛け、2024年5月10日にリリースされた『Crow Country』Steam製品版のプレイレポートをお届けします。

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クラシックなサバイバルホラー『Crow Country』とは

本作は、PS1風のレトロなサバイバルホラーアドベンチャー。プレイヤーは廃墟と化したテーマーパークを探索し、パズルや仕掛けを解きながら、異形のモンスターに立ち向かい、失踪したエドワード・クロウの行方と謎の真相をつきとめていくのが目標です。執筆時点でのSteamにおける総レビュー数は2,292件に達し「圧倒的に好評」となっています。

特徴的なのはローポリゴンのグラフィックをはじめとする、初代PlayStationを彷彿とさせるビジュアルとゲーム性です。1996年『バイオハザード』が登場して以来、数々の「サバイバルホラー」作品が誕生しました。そんなサバイバルホラーも、洗練されたグラフィック、ストレスの少ないゲームデザインなど時代に歩を合わせて変化していきましたが、近年ではPC(Steam)を中心に、先祖還りをしたようなレトロなサバイバルホラーが散見されるようになっています。

その中でも『Crow Country』は、しっかりと細部まで作り込まれているが粗くてチープな3Dポリゴン、プレイヤーの不安を煽るような不気味な世界と環境、簡素でわかりやすい往年のユーザーインターフェース、豊富なインタラクティブ要素のある探索、アイテムや弾薬管理が必要な戦闘、立ち塞がる異形の敵……など、「あの頃」体験したクラシックなサバイバルホラーが蘇ったと大いに感じることができました。

また戦闘パートを完全にオフにして、パーク内の探索と謎解きに専念できる「探索モード」も搭載しているので、ホラーが苦手なプレイヤーも安心して遊べると思います。

操作方法、言語オプション、ゲームモード

操作方法はキーボード/マウスかコントローラーに対応しており、今回筆者はXboxコントローラーを使用しています。コントロール設定は主にエイム軸やエイム速度、カメラ視点の変更ができます。操作感は、モダンコントロールであれば特に問題なく、移動やカメラ視点はサクサクと反応してくれました。

モダン方式のほかに、90年代のホラーゲームの定番である所謂「タンクコントロール」方式の操作も可能です。タンクコントロールは現代の操作方法と違い、十字キーの左右でキャラクターを回転させて方向を決定し、上下で前進/後退するという慣れないと不便なシステムですが、逆にそのもっさりした動作が探索や戦闘時の緊張感を生み出し、クラシックなサバイバルホラーに必須の要素でした。

本作は残念ながら、現時点で日本語未対応です。ですが、キャラ同士の会話やアイテム説明、謎解きのメッセージ等は比較的容易な英語なので、翻訳ソフトなどを使用すれば問題なく進行できると思います。ただし、物語の断片を記したメモや日記などを読んで背景を理解しようとするには、それなりの英語力が必要だと感じました。

難易度は、「サバイバルモード」「探索モード」「ハードモード」の3つから選べます。「探索モード」は上述の通り、敵からの攻撃を一切受けず廃墟の探索やパズルに没頭できるモードです。今回筆者は、難易度ノーマルに相当するサバイバルモードでプレイしました。自信のあるコアゲーマーは、より制限されたハードモードに挑戦するのも良いでしょう。

不気味な廃テーマパークを調査せよ

時は1990年。主人公マーラ・フォレスト(Mara Forest)は特別捜査官として、消息が途絶えた「エドワード・クロウ」の行方を追って突如閉園したテーマパーク「Crow Country」に足を踏み入れます。

閉園したテーマパークは、ゴミや瓦礫が散乱するひどい有り様。辺りは薄暗く不気味で、廃墟のような雰囲気です。早速調査を開始したいところですが、入り口にはカギがかかっています。

車のトランクに銃弾(handgun ammo)があり、装備した9mmハンドガンで撃ってみると簡単に壊れました。これで先に進めそうです。

余談ですが、本作はオープンワールドゲームのようにシームレスな移動ではなく、エリアごとに画面が暗転し次のエリアに行くクラシックな仕様となっています。こうした演出も往年のサバイバルホラーに欠かせない要素で、開発者のジャンルに対するこだわりを感じさせます。

チケット売り場には、ポケットライトや回復薬(Med Kit)など重要アイテムが落ちているのでしっかりと回収します。入園する前に、一旦インベントリを開いてどんな荷物があるのか見てみましょう。

クラシックな香りのするステータス画面

ステータス画面は、上段にプレイキャラクター、ヘルス状態を表す心電図(Fine→Caution→Injuredの順に危機的状況になる)、装備中の武器が表示され、下段左にキーアイテムと消費アイテム欄、下段右にはそれぞれのアイテムの説明欄となっています。

非常にシンプルで分かりやすいUIですが、特に心電図は『バイオハザード』シリーズを模したようなデザインで、往年のジャンルファンには感慨深いものでしょう。欲を言えば、アイテム同士の組み合わせやアイテム自体を細かく調べたり、もう少し工夫を凝らした機能があっても良いと思いました。

エリアのさまざまな場所には、無造作に置かれたファイルや日記、壁に貼ってある従業員のメモ、ヒントなどがあり読むことができます。また、自動販売機を蹴るとランダムなアイテムがドロップしたり、ゴミ箱を漁ると弾薬を発見したりと、世界の隅々までインタラクトできるので、探索する恐怖と楽しさが共存した素晴らしいゲームデザインになっているのも本作の魅力のひとつです。

異形のモンスターに立ち向かえ

不穏な空気に包まれた園内を進んでいき「Fairytale Land」エリアにたどり着きました。すると、ポラロイドカメラが落ちていていたので、拾って確認してみると……

血糊の付着した写真には、正体不明の異形の姿が写っていました。鮮明でなくハッキリとは分かりませんが、明らかに普通の人間のようではありません。一体これは何で誰が撮影したのか?不吉な展開に思わず寒気がします。

そのすぐ先には、負傷した男性がうずくまっていたので何が起きたのかを尋ねます。男性の名はアーサーと言い、彼は「何者か」によって攻撃され、その証拠として攻撃してくる「何か」の写真を撮ろうとしていたようです。混乱している様子のアーサーに回復薬を与え安全な場所へ連れていきます。

彼をマーラの車で休ませて調査を再開します。このテーマパークには恐ろしい何かがいる……慎重に探索しないといけません。そして、今度はシアターの向かいにある部屋を調査するために入ります。

狭く真っ暗な通路から聞こえる気色の悪いうめき声。恐る恐る進んでいくと、異形のモンスターが姿を現しました。ハンドガンで照準を合わせるには、エイムを上下しながらポイントを定める必要があり、慣れないうちはモタついて一気に間合いを詰められてしまいます。

なので、戦闘は基本的にヒット&ランで距離を取りながら対処するのがベター。しかも敵の攻撃力が意外と高く、2~3発喰らうだけでヘルスが危険な状態になってしまい、逃げざるを得なくなります。火薬樽や電流などフィールドギミックを使えば一撃で倒すことができますが、通常はハンドガンで4、5発当てないと倒せない。

モンスターを倒しても弾薬アイテムはドロップしないので、ヘッドショットを狙ったり、戦闘を回避したりして弾薬の節約と適切な管理をしておかないと、すぐに弾薬が尽きてしまうことにも注意しなければなりません。

他のエリアにも手強く気味の悪いモンスターがたくさん徘徊していて、マーラの行く手に立ち塞がります。本作の戦闘は、クセのあるエイムや乏しい弾薬、攻撃力の高い敵など、戦っていて爽快感を伴うような気持ち良さはありません。しかし代わりに、サバイバルホラーの本質である「厳しい環境下」で「生きのびる」先にある達成感や喜びを味わうことができると感じました。

パズルや謎を解いて真相を探れ

各エリアには多種多様なパズルや謎解きが用意されています。例えば、ホーンテッドエリアの「お化け屋敷」にはピアノが置いてあり、正しい音階を演奏すれば新たなアイテムや通路がアンロックされます。ヒントは必ず周辺のメモやファイルに隠されていて、注意深く観察すれば正解を導きだせるでしょう。程よく適度に難しい謎解きは、戦闘や探索とは違った楽しさがあります。


本作は、完璧に再現されたPS1風のビジュアル、雰囲気のある廃墟での探索、一筋縄ではいかないモンスターとの戦闘、さまざまな仕掛けや謎解きといったクラシックなサバイバルホラーの要素がすべて詰まった、高水準で完成度の高い作品であると思います。

とはいえ、日本語に未対応だったり、プレイ視点が「固定カメラアングル」ではなかったりと、不満点がないわけではないですが、コアなサバイバルホラーファンから、ジャンル未経験のプレイヤーまで幅広くオススメできると感じました。

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