中心部走る市営バス、自動運転導入へ 長井、12月から実証実験

実証実験の循環ルート案

 長井市は市中心部の市営バスを自動運転で運行することを目指し、今年12月中旬から約1カ月間の実証実験を行う。関連予算案が24日、市議会で可決された。循環ルートの実証実験を検討しており、運転手が緊急時などに備えて乗り込むが、早ければ2027年に、一定の条件下で無人運転が可能な「レベル4(フォー)」による本格運用開始を目指す。実現すると県内では初めてとなる。

 実証実験は障害物を把握する機能を備え、ハンドル操作やアクセルやブレーキが自動の「レベル2(ツー)」相当の車両を使う。路肩に止まっている車を避ける場合などは人による運転が必要なこともあり、運転手が乗るが、こうした不測の事態以外は原則、運転操作をしない。本年度は、市役所と一体のフラワー長井線長井駅や、道の駅「川のみなと長井」、市民文化会館、市遊びと学びの交流施設「くるんと」を結ぶルートで行う方針。雪の影響などを把握するため、実施時期を12月中旬からの約1カ月間に設定した。ルート変更などしながら来年度以降も続け、完全な無人運転に向けた課題を確認する。

 現行の市営バスは、市内のハイヤーなどを運行する3社でつくる協議会に委託し、6台体制で運行している。周辺部と中心部をつなぐ市民の足として、通院や買い物などに活用されているが、運行本数の少なさや中心部の循環路線がないなど、利便性に課題があった。市は運転手の高齢化や人手不足もあり、自動運転による運行を検討していた。

 実証実験は国が全国で進める自動運転社会実装推進事業に採択され、全額、国土交通省の補助で実施する。市は関連予算5千万円を盛り込んだ24年度一般会計補正予算案を24日の市議会定例会最終日に提出した。市の担当者は「中心部の自動運転路線と従来の路線を組み合わせてバス交通網を刷新し、持続可能で使いやすい公共交通の実現を図りたい」としている。

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