在職中にも補助金の不正受給か 社会福祉法人、傘下の2園で同一保育士を登録 沖縄

保育園イメージ

 社会福祉法人が宜野湾市の認可保育園で、退職した保育士の女性1人を在籍扱いにして補助金などを不正請求していた問題で、女性が浦添市にある同法人の系列保育園で勤務していた2020年に、男性理事長から宜野湾の園でも保育士登録することを打診されていたことが24日までに分かった。理事長は本紙取材に、女性の了解を得て二つの園で保育士登録したことを認めた。女性は「理事長の判断だった」と主張した。

 女性が宜野湾の保育園でも保育士登録したことで、女性の在任期間中から補助金を不正に受け取っていた可能性もある。

 女性は21年5月に退職した。20年に理事長から勤務地は浦添のままで「宜野湾は認可だから保育士資格のある人を登録したい」と打診されたとし、女性は保育園運営について「あまり理解せずに承諾した」という。

 その後、宜野湾市の保育園が市に提出した女性の賃金台帳には、20年5月から21年5月まで毎月15万円の基本給が記載されている。帳簿上で女性は浦添と宜野湾の2カ所の保育園で働いていたことになるが、女性は「宜野湾の保育園には行ったこともない」と否定する。女性が退職して別法人の保育園で働いていた21年6月以降の給与は月額5~8万円と記載されていた。理事長によると、賃金台帳に記載した給与は女性に支払わず同法人で内部留保したという。

 女性は23年冬に詳しい説明もなく、理事長から10万円を手渡された。理事長は「個人的に貸した」と主張している。

 一方で女性によると、問題が発覚した今年4月以降、理事長から「非常勤給与」として年10万円を支払った形とすることなどを提案されたという。税金の申告は(1)退職扱いでさかのぼって修正する(2)在籍扱いで他の方法をとる―の2案を提示された。退職扱いにした場合は、非常勤給与の整合性がとれなくなるとして、話し合いを求められたという。

 女性は10万円について「領収書もなく何のお金か分からない」と述べている。

 (嘉陽拓也、藤村謙吾)

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