「絶対にやるんです!」 アース製薬が“72ホール完遂”にこだわる理由

月曜の最終日はさすがにギャラリーが少なかったが…(撮影/松本朝子)

◇国内女子◇アース・モンダミンカップ 最終日(24日)◇カメリアヒルズCC(千葉)◇6688yd(パー72)◇晴れ(観衆362人)

小祝さくらのツアー通算11勝目で幕を下ろした「アース・モンダミンカップ」は、悪天候の影響で2日目と4日目の競技が遅延。予備日を使って72ホール競技を完了する、2021年「日本女子オープン」以来、ツアー史上4度目の“月曜決着”となった。

今季、予備日を設けている大会は国内4メジャーのほか、4月「フジサンケイレディス」、11月「伊藤園レディス」(いずれも3日間大会)があるが、これら2大会の競技成立に最低限必要な27ホールを消化する “最終手段”としての備えであり、本大会と色合いが違う。

「アース・モンダミンカップ」は72ホール完遂にこだわる(撮影/松本朝子)

「なにがなんでも、絶対に72ホールやるんです。それは揺るぎません」―。強い思いを語るのは、大会主催のアース製薬・上席執行役員で、ゴルフ関連事業を統括するCGO(チーフ・ゴルフ・オフィサー)の松下弘征氏。

予備日を設定、または実際に使うとコース、運営スタッフ、警備員、駐車場、バス、中継用カメラなど、多額の追加費用が発生する。それでも72ホール完遂にこだわる。同氏は「72ホールやれば実力のある者が(上位に)出てくる。全員の力をいかんなく発揮してもらいたい。この時期はどうしても雨の順延が考えられるので、少しでも公平にするために予備日が必要なんです」と説明した。

ギャラリーは受け入れたものの、ギャラリープラザは終日クローズ(撮影/内山孝志朗)

今週は当初、23日(日)に第3ラウンドの残りと最終ラウンドの消化を予定していたが、早朝から強い雨が降り続いてコースコンディションが悪化。24日(月)が晴れ予報だったため、同社と日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が協議して早々に予備日の使用を決めた。「嵐の中でやった人と、晴天無風でやった人ではどうしても不公平になる」(松下氏)との理由からだ。

また、大会の中継映像は通常、テレビ局が制作するのが一般的だが、本大会は「すべての選手を公平に映したい」(同氏)との考えから、同社が撮影から制作までを行い、その映像を各媒体が流す形をとっている。競技日程変更の際にもテレビ局との調整が最小限に済むため、月曜決着にも踏み切りやすい。

晴天の月曜日、全選手が公平に最終ラウンドをプレーできた(撮影/松本朝子)

賞金総額3億円、優勝賞金5400万円は、いずれも国内メジャーを超えるツアー最高額。「移動費、エントリー代、ラウンド代…。プロゴルファーはかなりの経費がかかるので、ちょっとでも賞金を稼がせてあげたい。予備日のことも、賞金のことも、我々は“プロファースト”の思いでやっています」と同氏。天気に翻ろうされた5日間だったが、多くの関係者の尽力が成功裏に導いた。(千葉県袖ケ浦市/内山孝志朗)

<2024 JLPGAトーナメント規約・規定集> ※一部抜粋
■第2章 プレーの条件
第11条
(競技成立ホール数)3日間競技の競技成立ホール数は27ホールとし、4日間競技(公式競技は除く。)の競技成立ホール数は36ホールとする

■第9章 悪天候等による短縮、中止等
第43条(予備日の設定)
1.主催者等は、当該競技の本戦の最終日の翌日を予備日として設定したい場合は、開催協約締結時までに開催申込書によりその旨をトーナメント事業部へ申し入れ、その承認を得なければならないものとする。
2.前項に基づき主催者等が予備日を設定した場合、当該競技の本戦の最終日の翌日を予備日として適用するか否かの判断は、トーナメント事業部と主催者等が協議し決定する。

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