熊野古道で清掃ウオーク 「地域の宝」守ろう 和歌山・田辺市本宮町

熊野古道を歩きながらごみを拾う清掃ウオークの参加者(和歌山県田辺市本宮町で)

 美しく保たれた熊野古道とともに来月7日の世界遺産登録20周年を迎えようと、和歌山県田辺市本宮町で22日、熊野古道清掃ウオークがあった。町内外から参加した住民や語り部ら25人が、町内にある熊野古道の人気コースを歩いてごみ拾いをし、「地域の宝」を守る思いを新たにした。

 本宮公民館と各分館の主催。熊野古道やその目的地である熊野本宮大社を含む世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、日本で初めて「文化的景観」として登録された。神社仏閣などの文化財の保全だけでなく、自然や人の手によって引き継がれてきた周辺の景観を良好に維持するには、地域全体で守っていく取り組みが必要だと、今回の清掃ウオークを企画した。

 参加者は発心門王子近くにある休憩所に集合して出発。水呑王子や伏拝王子、三軒茶屋跡、本宮大社などを経て、世界遺産熊野本宮館に至る約7キロのコースを歩きながら、ごみを拾ったり、小石や枝をどけたりした。

 ペットボトルや空き缶、包装紙といったごみが集まったが、量は少なかった。参加した熊野本宮語り部の会の加藤恵美代副会長(73)は「ほとんどごみがなく、熊野古道を歩く皆さんが大事にしてくれていることに感謝したい。これからも皆で気を付けて、美しい古道を守っていきたい」。田辺市出身で京都市にある仏教大学4回生、橋本陽那さん(21)も「初めて歩いたが、以前から興味があったので楽しかった。古道はすごくきれいだった。また歩きに来たい」と笑顔を見せた。

 本宮公民館の小守充館長(54)は「熊野古道を守る取り組みに地域の内外から参加していただき、大変ありがたい。あらためて『地域の宝を守る』『ごみを捨てない・ごみを拾う』ということの意識付けになった。今後も取り組んでいければ」と話した。

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