ispace米法人、月輸送の通信にスウェーデン国定企業の地上局を活用

ispace(東京都中央区)は6月25日、米法人ispace technologies U.S.(ispace US)が通信用地上局の大手プロバイダーと2026年に打ち上げを予定している月着陸船(ランダー)の運用で協力協定を締結したことを発表した。

ispaceは民間月探査プログラム「HAKUTO-R」を進めている。同社が単独で進めているHAKUTO-Rのミッション2は10~12月に打ち上げる予定

HAKUTO-Rのミッション3では、ispace USが米Charles Stark Draper Laboratory(Draper、マサチューセッツ州)を代表にした企業グループ「Team Draper」に参加し、Team Draperの一員として、ispaceがランダーの設計と製造、ミッション全体の運用などを担当する。

Draperは、観測装置などの貨物(ペイロード)などの月までの輸送を米航空宇宙局(NASA)が民間企業に委託する「商業月面輸送サービス(CLPS)」をNASAと契約。Team Draperは、CLPSのタスクオーダー「CP-12」を担う。

CP-12としてTeam Draperは月着陸ミッション「APEX 1.0」を進め、ispaceはAPEX 1.0用ランダーを設計、製造する。APEX 1.0はSpace Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」で打ち上げられる。打ち上げは2026年を予定している。

APEX 1.0は、NASAから委託されたペイロードを月の裏側、南極付近にある「シュレーディンガー盆地」(Schrödinger Basin)に輸送する。

ispace USは今回、スウェーデン国営企業であるSwedish Space Corporation(SSC)の米法人SSC Space USと協力協定を締結。APEX 1.0ランダーは、月を目指して航行している間、SSCのネットワークを経由して地上のミッションコントロールセンターと直接通信する。

ispaceによると、SSCはAPEX 1.0ランダーが月への航行中に使用するコマンドやテレメトリー、レンジ、ドップラー効果などのデータを商用通信システムとして唯一提供するプロバイダーという。SSCは月探査ミッションを4機の地上局で支援する予定。

APEX 1.0ランダーは、月に着陸後、2機の通信中継衛星を使ってispace USと通信する

(出典:SSC)

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