客室やレストランなど改装 旅館くらしき、8月9日営業再開

改装を進めている「旅館くらしき」

 倉敷市美観地区にある老舗旅館「旅館くらしき」(同市本町)が館内の改装を進めている。伝統的な和風建築美を生かしながら宿泊客の快適性を高め、増加するインバウンド(訪日客)にも対応する狙い。8月9日にリニューアルオープンする予定。

 工事箇所は客室やレストラン、貸し切り風呂など。客室は全8室のうち、間取りの異なる5室(62~82平方メートル)の装いを約20年ぶりに一新する。いずれも部屋に床暖房を設け、浴室は高級なコウヤマキ製の木風呂に取り換える。新たに造った坪庭を眺めながらくつろげたり、和室と寝室を仕切るふすまを壁内に収納して広い空間にできたりと、部屋ごとに特徴ある空間に仕上げる。残りの3室は2017年に改装済み。

 レストランは席数を12席減らして30席とする一方、周囲の視線を気にせずリラックスできる二つの半個室席(各4席)を設ける。スタッフの動線を確保するため、フロアと作業スペースをつなぐカウンター、収納スペースもそれぞれ広げる。投資額は非公表。

 同旅館は江戸時代の砂糖問屋を改装し、1957年に創業。板画家の棟方志功や作家の司馬遼太郎ら著名人が数多く宿泊したことで知られる。後継者不在で2005年にマンション分譲などの穴吹興産(高松市)に事業譲渡した。子会社・穴吹エンタープライズ(同)が運営している。昨年12月から工事のため休業しており、7月に完了予定。営業再開後の宿泊予約は受け付けている。

 同旅館は「誰もが過ごしやすく、かつ上質な和を感じられる宿にしたい。国内外ともに連泊数を上げ、リピーターの増加にもつなげられたら」としている。

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