北海道「宇宙港」、全長1300mに–300m延伸、スペースプレーンなどにも対応

宇宙港「北海道スペースエアポート」(HOkkaido SpacePOrt:HOSPO)を運営する北海道大樹町SPACE COTAN(北海道大樹町)は6月25日、HOSPOの滑走路延伸工事が完了したことを発表した。全長は1300m、従来の1000mから東に50m、西に250mの合計300m延伸した。

滑走路が延伸したことで従来よりも規模の大きい実験や機体の受け入れが可能になるという。無人航空機や宇宙往還機(スペースプレーン)、空飛ぶクルマなどの研究開発が活発する中でHOSPOでも関連する実験の利用希望が寄せられており、ニーズの多様化に応えられるようになるという。

HOSPOの1000m滑走路は、旧宇宙開発事業団(NASDA、現JAXA)と旧航空宇宙技術研究所(NAL、現JAXA)が当時研究開発していた日本版スペースシャトル「HOPE」の実験誘致を目指して大樹町が1995年に建設した。

1998年に舗装され、これまでに航空宇宙関連の実験やイベント、スカイスポーツなどで幅広く利用されていると説明。2023年度は計43の企業や団体が利用、利用日数は195日。無人航空機やヘリコプターを使った実験や訓練のほかにロケットエンジンの燃焼試験や小型ロケットの打ち上げにも使われている。

延伸工事が完了した滑走路(出典:大樹町、SPACE COTAN)

HOSPOは、水平と垂直の両方の打ち上げに対応する国内唯一の複合型宇宙港と説明。滑走路の延伸工事と並行して、新しい人工衛星ロケット射場「Launch Complex-1(LC-1)」の建設も進めている。完成後はインターステラテクノロジズなどの民間企業による打ち上げが予定されている。

建設の財源は、政府の「デジタル田園都市国家構想交付金」と企業版ふるさと納税による寄附金。寄付総額は当初目標に迫る11億円となったが、資材価格高騰で総事業費が膨らんだことから現在も継続して寄付を募っている。HOSPOはアジアでの宇宙ビジネスのハブとなることを目指し、高頻度で多様な打ち上げに対応するため、新しい射場「Launch Complex-2(LC-2)」と高速2地点間輸送(P2P輸送)用の3000m滑走路も計画している。

HOSPO開発計画(出典:大樹町、SPACE COTAN)

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HOSPOプレスリリース

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